卵巣がんを早期発見するために知っておきたい症状
病気は予防していても防ぎ切れない場合があるため、発症した際に早期発見できるかが治療後の生活を分ける大きなポイントです。
意識しておきたい卵巣がんにみられる5つの特徴を解説します。
症状に乏しく早期発見が難しい
卵巣がんは大半が進行期に発見されます。これは卵巣が骨盤腔内にあって初期症状が出にくく、患者さん自身が異変を感じにくいためです。痛みや不正出血のようなわかりやすい症状がみられず、初期段階での早期発見が難しいです。
その特徴からサイレントキラー(無言の殺人者)とも呼ばれています。
下腹部のしこり・ハリ
腫瘍が小さいうちは卵巣が腫れていてもほとんどわかりません。しかし腫瘍が大きくなってくると、下腹部にしこりが触れる場合があります。
また、腹部の臓器を覆う腹膜に転移すると腹水が溜まり、量に応じてお腹が前に突き出るように膨らんでいく症状もみられます。
このようなお腹にハリを感じる腹部膨満感は、早い段階から生じやすいです。
食欲不振
腹水が溜まる量が増えていくと、腹膜によって覆われている小腸や肝臓などの臓器が圧迫されます。これにより、食欲不振や吐き気が起こります。腹部膨満感は食後に生じやすく、すぐに満腹に感じて食事量が減ったり食事が摂れなくなったりするでしょう。
体重は減少しているのにお腹のハリは変わらず、むしろ増大していると感じる場合は危険な状態と考えられます。
頻尿・便秘
卵巣がんの腫瘍は、直径20cm以上と巨大になることさえあります。腫瘍が大きくなるにつれ膀胱を圧迫してしまい、頻尿が起こりやすくなるでしょう。患者さんによっては排尿時に痛みを感じることもあります。
また腫瘍が直腸を圧迫すると、便秘をはじめとする消化器系の症状も生じます。
足のむくみ
がん腫瘍はリンパ管の圧迫や静脈の還流障害を起こす場合もあります。その結果、足のむくみが生じやすくなるでしょう。卵巣がんでは栄養状態が悪くなり腹水も起こることから、さらに足がむくみやすくなると考えられます。
むくみは婦人科系のがんでみられやすい症状です。
卵巣がんを予防するための対策法
普段の生活のなかでも、卵巣がんの予防につながる行動を取るよう意識するのは大切です。
以下に挙げる3つの対策法を生活に取り入れてみてください。
規則正しい生活をする
卵巣がんに限らず、がん予防には規則正しい生活が効果的です。がん発生の原因は、主に次のような点にあると考えられます。
喫煙
過度な飲酒
肥満
運動不足
これらの要素は、生活習慣の見直しで改善できます。喫煙・暴飲暴食を避けてバランスのよい食事を心がけ、適度な運動を日常的に行いましょう。
特に肥大した内臓脂肪からはエストロゲンが過剰に産生・分泌されるため、閉経後の肥満には注意が必要です。
具体的には、BMI(脂肪指数)30以上は危険域です。栄養バランスや食べる量、運動によってBMIをコントロールしてください。
低用量ピルを使用する
現代の女性は昔よりも生涯で経験する月経回数が多く、月経のたびにエストロゲンが分泌されることで卵巣がんの発症率が上がっています。そのため、低用量ピルで排卵を抑えるのが効果的とされていています。
低用量ピルは子宮内膜を長期にわたり薄く一定に保ち、月経量・月経痛を減少できる製剤です。
服用中止後も10年以上予防効果が継続すると報告されており、継続的な使用でさらにリスクを下げられるでしょう。
子宮内膜症などの症状にかからない
子宮内膜症は女性の10人に1人がかかる症状で、月経痛・腰痛・慢性骨盤痛などさまざまな痛みを引き起こし、不妊症や卵巣がんのリスクを高めます。
さらに、子宮内膜症によるチョコレート嚢胞に対して手術が行われた症例では、全体の3.4%が卵巣がんを合併していたとの報告があります。
つまり、子宮内膜症とそれに付随する症状にかからないよう予防することが、卵巣がんの予防にもつながると考えられるでしょう。
子宮内膜症のサインは重度の月経痛のため、寝込む程に痛みが強い方や痛みが増していると感じる方は、我慢せず早急に婦人科を受診してください。
配信: Medical DOC