「シーバー病」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「シーバー病」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

シーバー病の治療

シーバー病は1〜2年程度から数年かかることもあります。骨の成長が終われば、自然治癒します。
治療は保存療法が一般的です。治療では踵への衝撃が入らないようにすることが重要で、有効な手段として以下の方法が取られます。

靴の中敷を柔らかいものやアーチサポートが強いものにする

踵のみを底上げしてヒールを作る

局所の安静のため、スポーツ活動などの中止

中敷を柔らかいものに変えることで、歩行時や走行時に踵に入る衝撃を緩和する効果が期待できます。また、踵を高くしてヒールを作ることで、アキレス腱が踵を引っ張る力が弱くなるため、痛みの軽減につながりやすくなります。

靴へのアプローチ以外では、下腿三頭筋のマッサージ・ストレッチも有効です。下腿三頭筋をマッサージ・ストレッチすることでアキレス腱が踵を引っ張る力が弱くなるため、痛みの軽減が期待できます。
そのほかBMIが高い患者の場合には食事を含めた生活習慣の改善が必要です。体重の管理や姿勢のコントロールも考える必要があるかもしれません。

このような靴や筋肉へのアプローチをしても痛みが落ち着かない場合には、そもそもの運動量を落とし運動強度を下げることが必要です。シーバー病は予後が良好な疾患ではありますが無理をすると炎症が悪化するため、痛みが強い場合には安静も検討します。

シーバー病になりやすい人・予防の方法

シーバー病になりやすい人の特徴は、以下のようなものが挙げられます。

足関節や下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)が硬い人

BMIが高い人

足部の形が崩れている人

運動量が多い人

急激に身長が伸びた人

足関節が硬い人

足関節の動き、特に背屈動作(つま先を脛に近づける動き)が硬い人はシーバー病になりやすいと言われています。この動きは下腿三頭筋が硬いと動きにくくなる特徴があります。なぜなら、ふくらはぎの筋肉が伸びないとつま先が脛に近づかないためです。

しかし、走る時には足首を動かさないといけません。背屈動作が硬いにも関わらず足首の動きが強制されるため、アキレス腱が強く引っ張られてしまい、踵への負担が大きくなります。そのため、下腿三頭筋が硬く足関節の背屈が硬くなっている人はシーバー病になりやすいと考えられています。

BMIが高い人

太っていてBMIが高い人もシーバー病のリスクが高いと考えられています。体重が軽い人と比較すると重たい人は走る時により大きな力が必要なため、踵へかかる負担が大きくなるためです。そのため、BMIが高い人はシーバー病へのリスクが高まります。

足部の形が崩れている人

足部の形が崩れている人、例えば扁平足・外反母趾などの人も要注意です。足には片足で種子骨も含め28個も骨があり、これらの骨が釣り合っていることで足の骨が安定します。足の役割は歩行時や走行時の推進力を出すことに加え、地面からの衝撃を緩和する役割がありますが、形が崩れてしまうと本来の力が発揮できません。

本来の力が発揮できないことで下腿三頭筋により大きな力が必要となり、アキレス腱が踵を引っ張る力が強くなるため、地面からの踵に入る衝撃がより大きなものになってしまいます。このような理由から、足部の形が崩れている人はシーバー病になりやすいと考えられています。

運動量が多い人

運動量が多いとアキレス腱が踵を引っ張る回数も増えるため、踵への負担が多くなります。そのため、運動量が多い人はシーバー病のリスクが高くなると考えられています。特に陸上競技やサッカーなど走行が多い競技は要注意です。

急激に身長が伸びた人

急激に身長が伸びた人もシーバー病のリスクが高まります。骨の成長に対して、筋肉は同様に伸びてくれません。そのため、骨にくっついている筋肉は骨の成長によって過剰に引っ張られます。過剰に引っ張られることで踵への負担が大きくなり、シーバー病のリスクが高まります。

予防方法は足の可動域・柔軟性や筋力をしっかりと保つことです。例えばアキレス腱のストレッチやタオルギャザーという足指の運動はシーバー病の予防に効果的と考えられています。
また、運動量のコントロールも重要です。特に小児期は競技をやりたい気持ちが先行し、痛みがあっても無理をしがちになるでしょう。痛みが出たら無理をせず整形外科もしくは小児科を受診し、休ませることが重要です。

関連する病気

骨端症

オスグッドシュラッダー病

扁平足外反母趾

参考文献

井樋栄二, 津村弘 et al 標準整形外科学第15版 医学書院 2023

棚原勝平 表現スポーツ選手のルルヴェ動作と踵部通罹患率の関係調査のための基礎的研究 明治国際医療大学誌 25・26 号: 15-18, 2021

長瀬涼 et al 足部静的アライメントは疼痛発生に影響するのか?~ 小学生高学年サッカー選手での検討~ Journal of Hyogo University of Health Sciences. Vol. 7, No. 1, pp.19-23, 2019

江川陽介 et al 踵骨骨端症発生要因としての腱弾性特性の評価 体力科学 2005 年 54 巻1 号 p. 107-112

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