「低体温症」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

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低体温症の治療

低体温症では身体を温めることが最も大事な治療です。
軽度低体温症では、体温調節機能が残っているため、患者さん自身の熱産生に期待する受動復温を行います。
中等・高度低体温症では、熱産生の機能が失われるため、外部から加温する能動復温も併せて行います。

また、呼吸が止まったり、心臓が止まる恐れがあるため、急速に体温を戻す必要があります。

受動復温

濡れた服を脱がす

毛布をかける

室内を温める(28度)

温風機による加温

能動復温

温風(温水)ブランケット

電気毛布

温浴

身体を温かいお湯に浸けます。

加温輸液

42度に温めた点滴を行います。

消化管加温

胃管というチューブを鼻や口から胃まで挿入し、温めた液体を胃の中に入れます。

気道加温

昏睡状態になった患者さんに対して、気管内にチューブを挿入して人工呼吸を行います。
その際に患者さんに温かい空気を吸入させます。

胸腔・腹腔洗浄

胸腔(胸の中で肺や心臓が収まっている区画)や腹腔(胃や肝臓や小腸などが収まっている区画)にチューブを刺して、そこから温かい液体を出し入れします。

血管内加温カテーテル

一定の温度の液体が灌流するカテーテル(薬剤を投与するための管)を血管内に挿入して、血液を直接温めて体温を上昇させます。

心肺補助装置

高度低体温症により心臓が止まってしまった、ないしは止まりそうになっている患者さんに心臓と肺の機能を代替する装置を装着して、全身の臓器に血液を送ります。
同時に、冷たくなった血液を身体の外に出して、温めた後に身体の中に戻すことで深部体温を上昇させます。

低体温症になりやすい人・予防の方法

低体温症になりやすい人

高齢者

筋肉量の低下、体温低下に対する体温調節機能が低下するために熱産生が低下しています。

小児(特に乳幼児)

体重に対して体表面積が大きいため、容易に熱を喪失します。

アルコールや薬物乱用者

血管が拡張することによって熱の喪失が起きやすく、寒冷環境下で動けなくなっていても寒さを感じにくいです。

甲状腺機能低下症などの内分泌疾患患者さん

代謝機能が低下しているため、熱産生が低下しています。

予防方法

多くの低体温症が屋内で発生していることから、室温が低下したときには積極的に暖房器具を使用することが大切です。
日頃から適度な運動と、十分な食事をとることで筋肉量の低下を防ぎ、熱産生をあげることが予防につながります。

参考文献

・Brown DJA, Brugger H, Boyd J, Paal P. Accidental hypothermia. N Engl J Med. 2012;367:1930–1938.

・Takauji S, Hifumi T, Saijo Y, et al. Accidental hypothermia: characteristics, outcomes, and prognostic factors—A nationwide observational study in Japan (Hypothermia study 2018 and 2019). Acute Medicine & Surgery. 2021; 8 (1): e694.

・依存症対策全国センターギャンブル依存症と重複しやすい精神疾患について

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