社交不安障害の治療
社交不安障害の主な治療法には、薬物療法と認知行動療法があります。
症状に応じて、両方を組み合わせて行う場合もあります。
薬物療法
薬物療法では主に3種類の薬剤が用いられます。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
SSRIは社交不安障害の根治的な治療に最も効果的です。
脳内のセロトニンバランスを調整し、1日を通して不安や緊張を軽減します。
効果が現れるまでに約8~12週間かかりますが、継続的な服用により、恐怖を司る扁桃体の過敏さを徐々に改善します。
βブロッカー
主に緊張する場面の約30分~1時間前に服用し、動悸や震えなどの身体症状を軽減します。
特定の社会的場面でのレスキュー的役割を果たし、症状をやり過ごすのに役立ちます。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬
即効性があり、不安感そのものを軽減します。
頓服薬として服用しますが、依存性の問題があるため、過剰な使用には注意が必要です。
これらの薬物治療を進めることで、社交不安障害の症状の悪循環を断ち切り、患者さんが苦手な状況に挑戦する際の後押しを行います。
認知行動療法(CBT)
認知行動療法は、不安や緊張を引き起こす考えと、それに紐づく行動を調整する精神療法の一つです。社交不安障害の治療に効果があることが示されています。
主な手法には以下のようなものがあります。
1. 思考の同定
不安を引き起こす考え方のパターンを見つけ出します。
2. 認知の再構成
非合理的な思考パターンをより適応的な思考に置き換えます。
3. エクスポージャー(曝露療法)
恐れている社会的状況に段階的に直面し、不安に対処する能力を向上させます。
認知行動療法は通常、1セッション約45~50分で、16回以上のセッションを行います。
専門家の指導のもと、思考記録表などのツールを用いて自己の思考パターンを分析し、より適応的な考え方や行動を身につけていきます。
また、治療の一環として、通院すること自体が曝露療法になることも多いようです。電車に乗る、受付でお会計をするなど、社会生活も治療の一部となります。
社交不安障害になりやすい人・予防の方法
社交不安障害は誰にでも起こり得る精神疾患ですが、以下のような特徴を持つ人がなりやすいとされています。
内向的または神経質な性格の人
内向的または神経質な性格の人は、他人との交流に対して不安を感じやすい傾向があります。
内向的または神経質な性格の人
幼少期に過度に批判的または保護的な環境で育った人
社会的状況での否定的な経験(いじめや失敗など)がある人
家族に社交不安障害やほかの不安障害を持つ人がいる人
完璧主義の傾向がある人
自尊心が低い人
新しい環境や状況に適応するのが苦手な人
社交不安障害の予防には、健康的な生活習慣を心がけることや、自分にあったストレス解消法を見つけることが大切です。
思春期あたりから発症することが多いため、緊張することは当たり前という認識を持ち、段階的に苦手な場面に慣れることで症状の悪化を防ぎます。
また、周囲の理解とサポートも重要です。
社交不安障害は適切な治療で改善が可能な疾患です。
症状に気づいたら、一人で悩まずに医療機関に相談することが、回復への第一歩となります。
参考文献
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp/disease_guide/detail/155
https://www.ncnp.go.jp/hospital/patient/disease34.html
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12200000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu/0000113841.pdf
https://www.city.chiba.jp/shimin/shimin/jichi/documents/kouenshiryo.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsad/7/1/7_4/_article/-char/ja/
https://waseda.repo.nii.ac.jp/record/23791/files/Honbun-4367.pdf
配信: Medical DOC
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