急性心筋梗塞の主な原因
心臓は冠動脈という血管から酸素や栄養を受けています。この血管が詰まることで心筋梗塞が起こります。冠動脈を詰まらせる原因(危険因子)は、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が代表です。以下に各々の要点を説明します。
高血圧
血圧が高い状態が続くと、冠動脈の壁に常に負担がかかるため、動脈硬化の進展が早まり、血管を狭くします。加えて、血管を狭くするプラークの形成を助長します。そのため、冠動脈が詰まる可能性が高くなり、急性心筋梗塞を起こしやすくなります。健診などで血圧が高いと指摘された際は、内科や循環器科を受診して適切な指示を受けて下さい。高血圧の初期で症状を認める人はほとんどいません。そのため、血圧が高いにも関わらず、放置している人が多いです。結果、知らず知らずのうちに血管を傷める状態を継続してしまいます。適切な血圧管理が重要です。
脂質異常症
脂質異常症は、血中のLDL-コレステロールや中性脂肪が高い状態を指します。LDL-コレステロールが高値となると、余分なLDL-コレステロールが血管の内側に溜まります。結果、血管内に瘤(こぶ)のようなものを形成します。これを、プラークといいます。プラークは血管を狭めるばかりではなく、突然、破れることがあります。そうなると、その部分を塞ぐために血栓が形成されます。この血栓が原因で冠動脈が詰まり、心筋梗塞が起こります。一方で、コレステロールの中でも、HDL-コレステロールはプラークの形成を抑制します。したがって、HDL-コレステロールが低い状態も心筋梗塞の原因となります。これらの異常は健康診断などを利用した血液検査でわかります。異常が見つかった場合は、内科や循環器科を受診して適切な指示を受けて下さい。
糖尿病
血糖が高い状態が続くと、動脈の内側にある血管内皮細胞にダメージを与え続けます。そのため、血管が硬くなったり、血管内の壁に傷がつきやすくなったりします。そのため、動脈硬化のスピードが速まります。結果、冠動脈が詰まりやすくなり、急性心梗塞を起こします。初期の糖尿病は自覚症状を認めることが少ないので、放置している人が多いです。健診などの血液検査で血糖が高い状態を指摘された際は、自覚症状の有無に関わらず、内科を受診して適切な指示をもらうことが重要です。
急性心筋梗塞を発症して助かる確率
患者さんの基礎的疾患、急性心筋梗塞発症からの経過時間、急性心筋梗塞の重症度によって
助かる確率はかなり違います。なお、2020年度の統計資料によると、日本の死因の第2位は心疾患であり、全体の15.0%を占めています。そのうち、約15%が急性心筋梗塞によるものでした。
配信: Medical DOC