出血性ショックの治療
出血性ショックでは、原因や出血量に応じた治療が行われます。
外傷の場合には、出血箇所を圧迫して止血する処置が行われます。出血量が増えれば増えるほどショックが進行し、最悪の場合命に関わります。そのため、交通事故などの外傷の場合は、本人または周囲の人が可能な限り止血を試みることが求められます。
救急で運ばれたあとは、出血箇所の止血とあわせて、血液量を維持するためにアルブミン製剤やリンゲル液などを用いた輸液の投与、血液製剤の輸血を行います。
消化管からの出血の場合には、内視鏡を用いて医療用のクリップで出血部位を止血したり、出血部位に止血剤を注入したりする処置が行われます。また消化管のなかでも胃潰瘍や十二指腸潰瘍など潰瘍からの出血の場合は、出血箇所を焼却して止血させる処置を行うことが多いです。
出血性ショックの治療時には全身状態のモニタリングが重要であり、意識障害がみられる場合には、気管へチューブを挿入(気道挿管)して気道の確保を行います。
いずれの場合も一刻も早い処置が必要であり、できるだけ早く止血を行い、失われた血液を補うための治療が行われます。
出血性ショックになりやすい人・予防の方法
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、食道静脈瘤を発症している人や、大動脈瘤がある人は出血性ショックを発症するリスクがあるといえるでしょう。そのため、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道静脈瘤、大動脈瘤を認める場合には、悪化予防のため適切な治療を受けることが出血性ショックの予防につながります。
また交通事故のほか、高齢者の転倒やスポーツ中のケガなどによる外傷も出血性ショックを引き起こすことがあるため、日常的にこれらのケガの予防に努めましょう。
関連する病気
胃・十二指腸潰瘍
大動脈瘤
肝細胞癌
常位胎盤早期剝離
外傷
参考文献
日本救急医学会医療用語解説集「ショック」
鈴木晶著「ショック」
照井克生「産科危機的出血による出血性ショックの現状 ―何が救命に必要か―」
配信: Medical DOC
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