「上顎洞炎」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

「上顎洞炎」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

上顎洞炎の前兆や初期症状について

上顎洞炎の初期症状は鼻詰まりや黄色い鼻水、痛みなどですが、症状が現れないこともあります。

上顎洞の炎症が悪化した場合、粘膜が腫れたり、膿が溜まったりすることにより鼻が詰まり、鼻呼吸が上手くできず息苦しさを感じる可能性があります。鼻が詰まることで嗅覚も低下し、食べ物の匂いや味がわからなくなることがあります。

頭痛や眼の下の痛み、頭重感、発熱も上顎洞炎が進行したときの症状です。膿が溜まることによって、鼻水は粘度のある黄色いものに変わり、さらに進行すると緑色になることもあります。鼻汁がくさいと感じたり、口臭が気になることもあるでしょう。
ネバネバした鼻水が喉に垂れてしまう場合、声が出にくくなったり、咳が出て夜眠りにくくなる原因にもなります。

上顎洞炎の検査・診断

上顎洞炎の診断には、前鼻鏡検査や鼻腔内視鏡検査、画像検査などが必要です。
これらの検査を行い、鼻の粘膜の炎症や鼻水や膿瘍の状態、鼻ポリープの有無などを確認することで、より正確な診断が可能になります。

前鼻鏡検査

前鼻鏡検査では前鼻鏡という器具を用いて肉眼で鼻内を観察します。
上顎洞炎では、鼻の粘膜がむくんで腫れることが多く、10〜20%の方に鼻ポリープが見られます。
初期や軽症の場合、前鼻鏡検査だけでは小さな鼻ポリープを見つけるのが難しいため、内視鏡を使って観察することが必要です。

鼻腔内視鏡検査

鼻腔内視鏡検査では、ファイバースコープという細長いカメラを使用して鼻腔内を詳細に観察します。
ファイバースコープによって鼻汁の状態や鼻ポリープの有無を確認することで、より正確な診断が可能です。

画像検査

一般的に単純X線検査が行われますが、慢性上顎洞炎の診断をしたり手術の適応を判断するためには、膿が溜まっている部分がグレーや白に写るCT検査が行われます。
嚢胞性の疾患や腫瘍との鑑別をおこなうときはMRI検査を行います。

その他の検査

その他の検査は鼻汁の塗抹検査、鼻詰まりを調べる鼻腔通気度検査、実際の匂いを嗅いで嗅覚障害を評価する嗅覚検査、粘液線毛機能検査などがあります。
これらの検査結果を基に、慢性上顎洞炎の原因や病態、重症度を評価します。

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