胆石症の前兆や初期症状について
胆石症は、胆石がある場所によって出現する症状が異なります。
胆嚢結石
胆嚢(たんのう)結石では約8割の人は自覚症状がありません。症状としては右肋骨下の痛みや違和感があります。
胆嚢の出口に胆石が引っかかることによる発作が起こると、みぞおちに激しい腹痛が起こることが特徴です。発作時には約60%において右の肩甲骨から肩にかけて痛みを生じ、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
このような発作は脂肪分の多い食事をとった後の数時間以内に起こることが多いです。
胆嚢は胆汁と呼ばれる脂肪の消化を助ける消化液を貯める役割があります。脂肪を多く含む食事をとると、胆嚢が縮むことで石で詰まっている部分に圧がかかり痛みを生じます。
また胆嚢の出口を胆石がふさぐことにより、胆嚢内に淀みができ、細菌感染を起こすことがあります。胆嚢炎になった場合は痛み以外に発熱や黄疸などの症状が出ることがあります。
さらに、胆嚢の出口付近に石が詰まってしまった場合、胆管も圧迫して塞いでしまうことがあります。その場合は感染、肝機能障害、胆管炎などを起こすことがあります。
総胆管結石
総胆管結石の症状は腹痛や背部痛、発熱、白目や皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)、吐き気・嘔吐などが挙げられます。一方で約2〜3割の人は自覚症状がありません。
黄疸は胆石が胆汁の流れ道を塞ぎ、胆汁の流れが悪くなることで起こります。胆汁は通常便と混じって体の外へでていきますが、胆石により胆汁の流れがせき止められると血液中に入るようになり、血液中のビリルビン濃度が上がります。
ビリルビンは黄色い色素をもつため、皮膚や目などの粘膜に張りつくと黄色く見えるようになります。また黄疸になると皮膚にかゆみが出たり、褐色から黒色の尿(ビリルビン尿)が出たりします。
また胆汁の流れが停滞したままの状態が続くと肝障害や急性胆管炎による発熱、膵液の流れが滞ると急性膵炎を合併するリスクがあります。
胆管と膵臓の消化液を流す管(膵管)は出口が同じため、出口付近で石が詰まると膵液の流れも塞いでしまい、膵炎を起こすことがあります。膵炎は腹痛、背部痛などを起こし、お腹全体に炎症を引き起こします。いわばお腹の中の大やけどのようなもので、重症であれば命にかかわることもあります。
肝内結石
肝内結石の症状は、腹痛や発熱、黄疸があります。いずれも胆汁の流れが滞ることで起こる胆管炎症状が多いですが、無症状の場合もあります。
胆石症の検査・診断
胆石症を疑われた場合は、腹部超音波検査、CT(コンピューター断層法)、MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮像法)、EUS(超音波内視鏡検査)などの画像診断検査がおこなわれます。胆石がある場所に合わせて検査を使い分け、胆石症を診断していきます。
腹部超音波検査
お腹の上からプローブと呼ばれる装置を当てて、お腹の中の画像を映し出す検査です。胆嚢(たんのう)や胆管の中にある胆石(胆嚢結石)を見つけることができます。同時に胆嚢炎が起こっているかどうかもわかります。腹部超音波検査で結石がはっきりしない場合は、CTやMRCPをおこなっていきます。
CT (コンピューター断層法)
X線を利用して腹部内を画像として表示する検査です。必要に応じて造影剤を使うこともあります。
MRCP (磁気共鳴胆管膵管撮像法)
磁力を利用して胆管・胆嚢・膵管(すいかん)の画像を同時に映し出す検査です。MRIとよばれる筒状の装置のなかに入って検査をおこないます。X腺の被爆がなく負担は少ない検査ですが、閉所恐怖症や刺青、体内に金属が入っている方は受けられない場合があります。
EUS (超音波内視鏡検査)
超音波装置がついた内視鏡を口から挿入し胃や十二指腸の壁を通して、胆石の有無や胆嚢・胆管の壁に異常がないかを調べる検査です。特に小さな結石や十二指腸乳頭付近の結石の診断にはEUSが有効とされていますが、他の画像検査で診断がついた場合は実施しないことも多いです。
配信: Medical DOC