がん発症のリスクを上げやすい食べ物
それでは、次にがんの発症リスクを上げやすい食べ物について述べていきます。
食塩・塩蔵食品
いくらや塩辛などの高塩分食は、男女の胃がんのリスクをほぼ確実に高めると考えられています。また、塩分の摂り過ぎは高血圧の原因ともなります。
1日あたり、男性では7.5g未満、女性では6.5g未満の食塩摂取量が勧められています。
加工肉・赤身肉
加工肉や赤身肉を大量に食べると、特に日本人では女性の大腸がんのリスクを高める可能性があります。加工肉とは、硝酸塩などの化学保存料を加えることで、日持ちや味を良くするために加工された肉のことです。ハムやベーコン、ソーセージなどがあります。なお、赤身肉は、新鮮な牛肉、豚肉、羊肉が含まれ、鶏肉は含まれません。
お酒
日本人男性を対象とした研究によると、1日のアルコール摂取量が純エタノールで23g未満の人に比べ、46g以上飲むとがんのリスクが約40%、69g以上では約60%高くなることがわかりました。特に肝細胞がん、食道がん、大腸がんとの関連が強いです。
女性では、飲酒量が少なくても乳がんのリスクが高くなる可能性があり、男性より飲酒の影響を受けやすいと言われています。飲酒する場合は1日23g程度(日本酒1合、ビール大瓶1本、ワイングラス2杯程度)までにしましょう。
トランス脂肪酸
トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニング、さらに植物油を高温にして脱臭する際に生じる、脂肪酸の一種です。トランス脂肪酸の大量摂取は、前立腺がんや大腸がんのリスクを高めることが報告されています。トランス脂肪酸の1日の摂取量は、総エネルギー摂取量の1%未満にすることが推奨されています。日本人の場合は、約2gです。
白砂糖
白砂糖は、精製された糖の一種で、摂取すると体内で急速に血糖値が上昇します。それに伴い、インスリンの分泌が増え、血糖値をコントロールしようとします。このインスリンの急激な上昇が長期間続くと、インスリン抵抗性が生じやすくなり、糖尿病のリスクが高まるだけでなく、がんのリスクも増える可能性があります。
がん細胞は正常な細胞よりも多くのエネルギーを必要とし、そのエネルギー源として糖を利用します。血糖値の上昇が続くことで、がん細胞が増殖しやすい環境が整い、がんの成長を促進するという説があります。特に、乳がんや大腸がんとの関連が指摘されています。
がん予防のために大切な生活習慣
私たちの生活習慣は、がんの発症リスクに大きく影響を与えます。健康的な生活習慣を心がけることで、がんのリスクを減少させることが可能です。以下では、がんの予防に役立つ生活習慣について紹介します。
禁煙
喫煙はがんの最も大きなリスクファクターの一つです。特に、肺がんや口腔がん、喉頭がんなど、さまざまながんの発症リスクが高まります。
禁煙をすることで、これらのリスクを大幅に減少させることができます。また、禁煙は心血管系疾患の予防にも効果があります。
適度な飲酒
アルコールの過剰摂取は、肝臓がん、食道がん、大腸がんなど、複数のがんのリスクを高めます。特に、毎日の大量飲酒はがん発症のリスクが高くなります。
飲酒を控えめにし、1日のアルコール摂取量を純エタノールで23g程度に抑えることで、がんのリスクを軽減することができます。また、飲まない人や飲めない人は無理に飲酒する必要はありません。
バランスの取れた食生活
高脂肪食や精製された砂糖を多く含む食事、加工肉の過剰摂取はがんのリスクを高めます。特に、大腸がんや乳がんのリスクが増加します。
新鮮な野菜や果物、全粒穀物、魚など、バランスの取れた食生活を心がけることで、がん予防に役立つ栄養を体内に取り入れることができます。
定期的な運動
座りがちな生活や運動不足は、肥満やインスリン抵抗性のリスクを高め、がん発症の要因となります。特に、大腸がんや乳がんのリスクが高まることが報告されています。
毎日30分程度の適度な運動を行うことで、がんの予防だけでなく、心血管疾患や糖尿病の予防にも効果があります。
ストレス管理
長期的なストレスの蓄積は、免疫力を低下させ、がんやその他の慢性疾患のリスクを高めます。特に、ストレスによる不眠や食欲不振もがんリスクに影響を与えることがあります。ストレス管理のために、趣味やリラックスする時間を確保する、瞑想や深呼吸などのリラクゼーションをしてみましょう。
配信: Medical DOC