「凍傷」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

「凍傷」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

凍傷の治療

凍傷の治療は、できるだけ早期に患部を温めることが重要です。

凍傷の応急処置の方法としては、凍ったり濡れたりした衣服を脱がせることが第一です。
低体温症の可能性もあるため、乾いた衣服や毛布で体を覆って体温の低下を防ぎます。
ドライヤーなどの乾いた熱を使って温めると、皮膚が乾燥してしまう上、適切な温度でない場合が多いため、使用は避けてください。

つぎに、患部を約40℃のぬるま湯で10〜30分かけて完全に温めます。
このとき、介助者する方の感覚で触れて気持ち良いと感じる温度より熱くしないよう注意しましょう。
また、組織のさらなる損傷を防ぐために、患部をさすったり、もんだり、締め付けたりしないようにします。

保温後に激しい痛みや水疱、患部の壊死(黒色に変化)などが見られた場合は、すぐに医療機関での治療が必要です。

医療機関での凍傷の治療は、症状に応じて以下の方法を組み合わせて行います。

急速融解法

約40℃の湯に患部を入れて凍結を急速に解除します。
組織中の氷の結晶が速やかに溶けるため、時間をかけて温めるより血管が拡張し凍結した組織のダメージを最小にできます。融解中は通常、激しい痛みを伴います。

低体温症で体温が35℃以下の場合、手足から温めると逆効果になることがあります。
その場合は体の中心部を温めることが優先されます。

局所治療

温めた後に進行する組織のダメージを抑えるために、血管を広げる薬や交感神経をブロックする治療、高気圧酸素療法などを行います。
Ⅱ度以上の凍傷が発生した場合、凍傷部分を温めた後は、やけどや皮膚の潰瘍と同様の治療を行います。

患部を高くして安静にすることで浮腫を軽減し、軟膏などで損傷部の感染を防ぐことも重要です。

外科的治療

通常、損傷から3週間ほど経つと、傷の状態がはっきりしてきて、皮膚が再生し始めます。壊死した組織の境界がはっきりと見えるようになった時点で、必要に応じて皮膚移植や切断の手術を行います。

凍傷になりやすい人・予防の方法

凍傷になりやすい人は、やせた方や高齢者、寒冷地に不慣れな方です。
また、職業として極低温の物や場所で作業する場合もリスクが高くなります。
具体的には、冬山登山者や寒冷地での漁業従事者、冬季スポーツを楽しむ方などが凍傷になりやすいと言えます。
認知症の方やアルコール摂取した場合も判断力や知覚が低下するため危険です。

凍傷を予防するためには、まず適切な防寒対策が重要です。
寒冷地での活動時には、保温性の高い衣服や靴を着用し、特に手足や耳、鼻などの末端部分をしっかりと保護しましょう。

寒冷地での活動前には、天候や気温を確認し、無理な行動を避けることも大切です。

関連する病気

凍瘡

低体温症

参考文献

一般社団法人 日本形成外科学会凍傷

北海道医師会応急手当Web│ケガ・事故(一般)│凍傷・低体温

日本救急医学会凍傷 – 医学用語解説集

救急蘇生法の指針 2015

日本創傷外科学会凍傷

日本臨床皮膚科医会-ひふの病気凍瘡

日本職業・災害医学会液体窒素による手指凍傷

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