「肺血栓塞栓症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「肺血栓塞栓症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

肺血栓塞栓症の前兆や初期症状について

急性肺血栓塞栓症の主な初期症状は、骨盤や脚の静脈に血栓ができることによる大腿から先の脚の赤みや腫れ、痛みです。

血栓が肺動脈に詰まると、呼吸困難や胸の痛み、失神などの症状が現われます。

慢性肺血栓塞栓症では安静時では自覚症状がないものの、身体を動かした際に息苦しさや疲労感が現われることが特徴であり、病状が悪化するにつれて息苦しさや疲労感の症状が次第に強まります。

肺血栓塞栓症の検査・診断

肺血栓塞栓症の診断では、主に以下のような検査が行われます。

胸部レントゲン写真・心電図検査

胸部レントゲン撮影はX線を当てて肺や心臓の大きさや形を画像で確認する検査であり、心電図検査は筋肉の電気信号を検出して心臓の動きに異常がないかを記録する検査です。

これらの検査は肺血栓塞栓症が疑わしい場合に、ほかの呼吸器や循環器の病気と鑑別する目的で行われます。

血液検査

肺血栓塞栓症の診断をするために採血検査では、Dダイマーや脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、トロポニンの値を測定します。
Dダイマーは血栓の可能性を示すため、数値が基準値より高ければ身体のどこかに血栓症が起きている可能性が高まります。

脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)やトロポニンI、トロポニンTは心疾患の診断で用いられる項目で、異常値を示している場合は心不全が起きている可能性があります。

動脈血ガス分析

動脈血ガス分析では、動脈からの採血によって血中の酸素・二酸化炭素濃度を確認します。

手術前後の期間で行われることが多く、手術に合併した肺血栓塞栓症の有無を見分けるのに役立ちます。

超音波(エコー)検査

超音波(エコー)検査は、超音波を使って臓器の動きを観察する検査であり、肺血栓塞栓症では心臓や肺動脈、弁の状態を観察します。

超音波検査で血栓の発見や心臓の大きさや筋肉の動きを確認することで、肺血栓塞栓症の診断だけでなく重症度や予後の判定も可能です。

造影CT検査

CT検査はX線を体に当てて体の輪切り像を撮影する検査です。

造影CT検査では、造影剤を投与することで肺動脈内にある血栓の有無を確認できます。

肺動脈の血栓を見つけることに優れた造影CT検査では、急性肺血栓塞栓症の診断が可能です。

肺シンチグラフィ

シンチグラフィは放射性物質を含んだ薬品を注射し、薬品の集まりを画像化する検査です。

肺のシンチグラフィでは肺動脈内の血栓を見つけられるため、肺血栓塞栓症の診断が可能となります。

ヨードアレルギーや腎臓の機能が悪いなどの理由で造影CT検査を受けることができない人の診断に有効です。

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