「モートン病」を放置するとどうなるかご存知ですか?治療法も解説!【医師監修】

「モートン病」を放置するとどうなるかご存知ですか?治療法も解説!【医師監修】

日常生活の中で、足の指の付け根に痛みが生じることはないでしょうか。その症状は「モートン病」による可能性があります。

モートン病は、過度な運動や圧迫感のある靴の常用によって発症し、近年では発症者が増えてきています。発症初期にはテーピングなどで対処が可能ですが、症状が進行すると手術が必要なケースも。

本記事ではモートン病になりやすい人、兆候としてみられる症状やリスクや治療方法について詳しく解説します。

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※この記事はMedical DOCにて『「モートン病」の兆候となる症状・原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)

徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

モートン病のリスクや治療方法について

モートン病を放置するとどんな影響がありますか?

モートン病は放置すると、症状が進行して痛みやしびれが強くなり、足全体にまで症状が広がるケースもあります。最悪の場合には歩けなくなってしまう場合もあるため、症状を放置せず早期に治療を受けることが大切です。

モートン病の治療方法を教えてください。

症状が軽い場合には、自分で対処が可能です。1. 靴や歩き方に注意する・2. インソールを敷く・3. テーピングをする、などの方法で症状を緩和できます。

靴や歩き方に注意する:つま先が圧迫されやすい靴(ハイヒールなど)の着用やつま先立ちを控えるように意識することで、足趾への負担を軽減しモートン病の症状を緩和することができます。

インソールを敷く:痛みのある部分に体重がかからず、足の横アーチと縦アーチ(足裏の縦方向の湾曲した盛り上がり)が安定するようなインソールを選ぶと効果的です。

テーピングをする:足をリラックスさせた状態で、2本のテープが足の甲でクロスするようにテーピングをします。ポイントは、足の裏の中指と薬指の間を押しながら、痛みが生じない程度に少し引っ張りテーピングをすることです。テーピングによって、足裏から足趾の負担を軽減させることができます。テーピングは伸びるタイプでも伸びないタイプでもどちらでも構いません。

病院で行われる治療は、保存的療法と手術療法の二つです。
保存的療法では上記1〜3のように指導し、加えて薬の内服を行う場合があります。保存的療法でも数ヶ月症状に変化が現れない場合には、神経剥離や神経腫摘出、靱帯の切り離しなど手術療法が行われます。

モートン病は治療で完治するものですか?

治療による完治は現在のところ難しいですが、動注治療(動脈に直接薬剤を入れる治療)により限りなく完治に近い状態にさせることが可能です。
モートン病により生じたモートン神経種は、一旦発症するとそれが自然に消えることはありません。また、手術により神経種を取り除くことが可能ですが、20〜30%の人は再発してしまいます。しかし、痛みは改善したり消失したりすることがあります。

モートン病の治療中の過ごし方で注意すべきことがあれば知りたいです。

モートン病の治療中は、足趾にできるだけ負担をかけないようにすることが大切です。そのために、ハイヒールなどの常用を控え、つま先の広い靴など適切な靴を履くようにしたり、インソールを使用したりすると効果的です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

モートン病は、かつては欧米に多い疾患と言われていました。しかし、日本の生活習慣の欧米化によって、国内におけるモートン病患者数が増えてきています。
モートン病の原因は主に足趾部分への慢性的な負担ですので、モートン病を予防または治療するために同部分への負担を極力減らすことが重要です。
人によっては、職業柄などの理由でハイヒールなどのつま先が細い靴を常用しなければならない方もおられるかと思いますが、そのような方はデスクワークなどの際に靴を軽く脱ぐことで足を休ませることで、足趾への負担を軽減できます。そして、もし少しでも痛みやしびれが生じたら、適宜医師による診断を受けることが、重症化を抑える近道になります。
モートン病は治療により限りなく完治に近づけることができますが、100%治すことは未だに難しい病です。そのため、日頃から足に無理な負担をかけないなどの予防を心がけることも大切ですね。

編集部まとめ

本記事では、モートン病になりやすい人、兆候としてみられる症状やリスクや治療方法について詳しく解説しました。

モートン病は、過度な運動や圧迫感のある靴の常用によって発症し、最悪の場合には歩けなくなるほどの強い痛みを伴う可能性もあります。

日常的に運動運動をする方や、ハイヒールなど足に負担のかかりやすい靴を着用する方は、時々足を休ませてあげることが、モートン病の予防に効果的です。

また、症状が進行すると手術が必要となるケースもあるため、モートン病の疑いがあると感じた方は、症状を我慢せず専門医を受診するようにしてください。

参考文献

モートン病(日本整形外科学会)

9.足根管(そっこんかん)症候群(日本脊髄外科学会)

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