子宮頸がんの初期症状
子宮頸がんの初期症状はまったく症状がない訳ではありません。症状が出ていても気付いていない、もしくは子宮頸がん以外の要因と勘違いしている可能性があります。では、どのような初期症状があるのかみていきましょう。
初期には症状が出ないことも多い
先述しているとおり、初期症状はまったくない訳ではありません。ですが、症状が出ないこともあるため、発見が遅れる傾向にあります。
これから紹介する症状がない場合でも、子宮頸がんの検診は受けた方がよいことを念頭に置いておきましょう。
性交時の出血・月経時以外の出血
性交時の出血・月経時以外の出血は不正出血に該当します。生理的出血ではないため、腟管に何らかのトラブルが発生したと考えるのが妥当です。子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因となることがわかっています。HPVは性行為によって、子宮頸部に感染する病気です。
ウイルスに感染すると、数年〜数十年かけて子宮頸がんに進行していきます。性行為の経験がある女性の約50%が一生に一度は感染するウイルスでもあり、HPVにはハイリスク型とローリスク型の2つに分類されます。子宮頸がんの原因となるハイリスク型HPVは、子宮頸がん以外にも肛門周囲のがんや尖圭コンジローマ(良性)といった病気の発生に関わる厄介なウイルスです。
ほとんどの子宮頸がんにはハイリスクHPVが関係しているともされているため、性交時の出血は安易にとらえないよう注意しましょう。
水っぽいおりもの・においを伴うおりもの
おりものは子宮の状態を反映しやすいとされています。そのため、子宮頸がんでもおりものの変化はありますが、特に見過ごされやすい初期症状のサインです。
正常なおりものは無色から薄い白色で、特有のおりもののにおいが、ほとんどありません。しかし、子宮頸がんが発生すると水っぽいおりもの・においを伴うおりものになることがあります。
進行時の症状:下腹部痛
初期症状とは異なりますが、ここからは子宮頸がんが進行した時の症状をいくつか紹介しましょう。まずは下腹部痛です。
子宮頸がんの症状は、稀な症状となります。ですが、下腹部痛を感じた場合には、周囲の組織や神経にまでがんが影響を及ぼしている可能性があります。痛みの特徴は、以下のとおりです。
鈍痛
刺すような痛み
持続的な重だるさ
上記のような生理痛とは異なる痛みや、従来の痛みのパターンよりも変化している場合は特に注意が必要です。
進行時の症状:腰痛
腰痛も下腹部痛と同様に稀な症状の1つとなります。子宮頸がんが進行すると、子宮の横を走行している尿管に浸潤し、尿の通り道を閉塞させる恐れがあります。
すると、膀胱に移動できない尿が腎臓に逆流し溜まってしまうのです。これが腰痛の原因となり、またこの状態を『水腎症』と呼びます。水腎症は子宮頸がんが進行したサインです。尿管浸潤・水腎症の状態が考えられるステージ3B期の進行がんに分類される可能性は否定できません。
進行時の症状:血便・血尿
がんが子宮の外に広がると、尿や便に血が混じるケースがあります。ほかにも排尿時の異常を感じた場合は、尿路感染症の原因も懸念されるでしょう。
痛みや不正出血などの初期症状がない状態で、急に血便・血尿がみられた場合には産婦人科に相談をおすすめします。
進行時の症状:脚のむくみ
がんにはむくみの症状がありますが、子宮頸がんも例外ではありません。リンパ管に回収されなかったリンパ液がたまってむくんだ状態のことを、リンパ浮腫といいます。リンパ液はタンパク質を高濃度に含んだ液体です。子宮頸がんの場合には、股付近にある鼠径リンパ節にリンパ浮腫がたまって脚のむくみが出る可能性があります。
この症状は発症すると治りにくく進行しやすいため、むくんだところが重くなる・関節が曲げづらくなるなど生活にも影響します。そのため、リンパ浮腫は予防することや早く治療を受けることが大切です。
進行時の症状:量の多い出血
出血の量が多くなる症状は、おりものの変化と同様に見過ごされやすいサインの1つです。
月経期以外の時期に少量または多量の不正出血がみられたり、月経が通常より重くなる場合があったりします。がんが大きくなると出血を起こしやすくなるため注意が必要です。また、出血に混じって血の塊が多くなる場合も産婦人科に相談しましょう。
子宮頸がんを早期発見するためのポイント
子宮頸がんは、20歳代後半〜30歳代後半の若い世代の方でもかかりやすいがんでありながら、見過ごされやすい病気です。
初期症状がほとんどなく、自覚が難しいことから20歳からの検診が推奨されています。早期発見・早期治療につなげるためは、子宮頸がん検診を受けましょう。おりものや出血量など、些細なサインも見逃さないように普段から状態を把握しておくことも大切です。
配信: Medical DOC