「黄斑円孔」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「黄斑円孔」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
柳 靖雄(医師)

東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

黄斑円孔の概要

黄斑円孔(おうはんえんこう)とは、目のなかの網膜上にある黄斑部に小さな穴ができ、視力が低下する疾患です。

主に50歳以上の中高年に好発し、若年での発症はほとんどありません。男性と比較して女性の発症率が2〜3倍高く、強度の近視がある場合や高齢者に多く発症することが分かっています。

網膜は目の底(眼底)を覆う薄い膜で、視細胞や視細胞とつながる神経線維で構成されています。
目をカメラに例えると網膜はフィルムに当たり、目に入る光を感知する機能があります。私たちは、網膜のはたらきによって目に入る光を感知し、それが電気信号として脳に伝わることで初めて物を見ることができます。

網膜の中心に位置する黄斑部は、他の部位と比較して優れた視力を持っているため、障害されると視力が著しく低下します。黄斑円孔では、加齢や強度の近視などさまざまな原因によって黄斑部に穴が開き、物が歪んで見えたり視力が著しく低下したりします。

黄斑円孔に対して有効な内服薬や点眼薬はなく、外科的手術を行う必要があります。しかし、手術を行なっても視力が完全に回復することは少なく、特に外傷や近視に伴う黄斑円孔は症状の回復が困難なケースもあります。

治療せず放置した場合には視力が0.1以下になるケースもあるため、注意が必要です。

黄斑円孔の原因

黄斑円孔は原因によって「特発性黄斑円孔」「外傷性黄斑円孔」「近視性黄斑円孔」に分けられます。

特発性黄斑円孔

特発性黄斑円孔は、加齢によって硝子体が収縮することが原因で発症するものを指します。
硝子体とは、目に入る光を網膜に繋げる水晶体と網膜の間に位置するゼリー状の組織です。
特発性黄斑円孔では加齢に伴って網膜とくっついている硝子体が収縮して、その結果、網膜が引っ張られて穴が開きます。

外傷性黄斑円孔

外傷性黄斑円孔は、眼球の打撲など、外傷によって黄斑に穴が空くことで生じます。
外傷の程度によって視力の回復が難しくなるケースもあります。

近視性黄斑円孔

近視性黄斑円孔は、強度の近視によって黄斑円孔を発症するものを指します。

近視の原因には遺伝的なものと環境的なものがあり、近くを見る作業が多いことや、屋外での活動が少ないことなどによっても起こります。

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