「下っ腹が痛い」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「下っ腹が痛い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は腸の動きによって下痢や便秘、腹痛を起こす病気です。この病気で命に関わることなどが起こることはまずありませんが、症状に悩まされることが多く、生活の質は下がってしまいます。
腹痛はみぞおちの部分にも多いのですが、全体に痛みが出たり、便秘によるお腹の張りや、下痢の時に下腹部が痛くなることもあります。基本的に生活習慣の改善、ストレスの除去などを行い環境を整えること、薬を内服することなどにより治療していきます。
慢性前立腺炎
前立腺に感染、炎症が起こると下腹部の痛みが現れることがあります。
前立腺炎には急性・慢性があり、急性の場合は発熱や寒気,全身のだるさなどが現れることがあります。慢性の場合は急性ほど症状が強くなく、症状を繰り返すことがあります。前立腺は尿路の近くにあるため、頻尿や残尿感などの症状を認めることもあります。
細菌感染などが原因となる前立腺炎であれば抗生剤での治療が必要です。泌尿器科を受診しましょう。
異所性妊娠
受精した卵子が卵管など子宮の内側以外の部分にくっついてしまうことを異所性妊娠と言います。この場合、卵子は育つことができず、産婦人科での処置が必要となります。ただし、異所性妊娠を起こしても下腹部の軽い痛みや性器出血などの症状しかなく、気づかないこともあります。このまま気づかずに放置してしまうと、受精した卵子は通常6~16週程度で破裂してしまいます。破裂の前兆として激しい下腹部痛を認めることがありますが、このまま破裂してしまうと大量出血に伴うショックなど、命に関わることがあります。緊急手術などの対応が必要となるため、突然の激しい下腹部痛などがあればすぐに病院受診をしましょう。
予防はなかなか難しいですが、少なくとも自身の生理間隔を把握しておき、何かおかしいと思えばすぐに産婦人科を受診することが大切です。
卵巣茎捻転
子宮から卵巣までつながっている部分がねじれてしまうものです。捻じれが起こった際に痛みが出ますが、ねじれが元に戻れば痛みもよくなります。ねじれたままになると血流がなくなってしまうため、その先の血流がない部分が腐ってしまいます(壊死)。
突然の痛みがあれば病院を受診するようにしましょう。
尿路結石
下腹部痛の原因として尿路結石も挙げられます。腰のあたりに位置する腎臓から、下腹部にある膀胱に向かって尿を流す尿管という管が通っています。尿管は左右にありますが、3か所ほど細くなっている部分があり、下腹部にある細い場所に石が引っ掛かることにより突然の激痛を認めます。
石により痛みがある場合、石が詰まったままだと尿が流れなくなり、溜まった尿により腎臓が悪くなってしまったり、尿が溜まっている部分に細菌が感染し腎盂腎炎や菌血症などの重症感染症などを起こすことがあります。突然の腰背部、下腹部の痛みが表れた場合は病院を受診しましょう。
腸炎
腸炎でも下腹部の痛みを認めることがあります。腸の炎症に伴う痛みはもちろん、下痢などの症状を認める場合には腸の動きに伴う痛みが出ることもあります。
腸炎の場合、しっかり水分を取って休んでいれば数日で良くなることが多いでしょう。しかしながら、炎症が強い場合や感染の原因によっては病院での治療が必要となることがあります。歩いた際にお腹に響くような痛みがある、水分もほとんど飲めないなどの症状があれば病院を受診しましょう。
虫垂炎
虫垂炎、いわゆる「盲腸」は、右下腹部に虫垂があるため右下腹部が痛みます。はじめはみぞおちの痛みとして現れ、徐々にお腹全体に広がり右下に移動し、最終的には右下腹部が痛むという経過が典型的です。虫垂炎の場合は抗生剤での治療が必要となります。放置すると、感染がひどくなって膿を作ってしまったり、腸が破れてしまうことがあります。急な強い痛みが現れる場合などは病院を受診して治療を受けるようにしましょう。
「下っ腹が痛い」の正しい対処法は?
下っ腹が痛いと一言で言っても症状も原因も様々です。腸炎などの痛みであれば水分をしっかりとって休めば通常数日で良くなります。腸炎などであれば市販の整腸剤を飲んでも構いませんが、ロキソニンなどの痛み止めなどは使わないほうが良いでしょう。安易に痛み止めを使用して様子を見てしまうと炎症がひどくなってしまってもわからず、病院に行くのが遅れたりします。
突然の激しい痛みなどがある場合は緊急での対応が必要となる病気の可能性があります。この場合は救急車を呼んでも構いません。すぐに病院を受診しましょう。
また、そこまで症状も強くない、といった場合でも何らかの病気が隠れている可能性があります。症状を何度も繰り返す、何日間も続く、悪くなってくるなどがあれば一度病院を受診してみましょう。何科に行っていいかわからなくても、どこかの科を受診すればその病気にあった科に紹介してもらえます。
配信: Medical DOC