前頭側頭型認知症の主な原因
前頭側頭型認知症では前頭葉や側頭葉に限局した神経細胞の脱落があり、神経細胞にTau蛋白やTDP-43、FUSなどの異常な蛋白質が蓄積していることがわかっておりますが、なぜこのような変化が起こるのかはわかっておりません。一部に遺伝子の関与があることは知られており、日本では家族歴のある例は珍しいのですが、欧米では30-50%に家族歴がみられます。
遺伝子の異常
前頭側頭型認知症に関連する遺伝子として、MAPT遺伝子、GRN遺伝子、C9orf72遺伝子、TARDBP遺伝子、FUS遺伝子など様々な遺伝子が報告されています。Tau蛋白をコードしているMAPT遺伝子の異常ではTau蛋白が、プログラニュリンをコードしているGRN遺伝子の変異ではTDP-43が蓄積しやすいなど、どの遺伝子が変異しているかによって発症年齢や疾患の特徴が異なります。
前頭側頭型認知症になりやすい人の特徴
前述のとおり前頭側頭型認知症は遺伝子の関与があることから、血縁者に前頭側頭型認知症の方がいる場合には発病するリスクが上がります
また、どのような機序で関与しているかは不明ですが、前頭側頭型認知症の方では健常者と比較して、糖尿病や高血圧の罹患率が高いこと、脳卒中の罹患歴のある割合が高いこと、肥満の方が多いこと、意識喪失を伴うような強い頭部外傷の経験のある方が多いことが報告されています。
家族歴のある人
本邦では稀にはなりますが、前頭側頭型認知症は遺伝子が関与しうる病気であることから、血縁者に前頭側頭型認知症の発症者がいる場合には発病する可能性があります。原因遺伝子によって発症しやすい年齢が異なるため、発症者の発病時期と同時期に類似した症状が出た場合には関連遺伝子の検査も検討しましょう。
生活習慣病のある人
肥満の方や糖尿病や高血圧のある方、脳卒中の罹患歴のある方は前頭側頭型認知症の発症する割合が高いといわれています。バランスの取れた食事、適度な運動を行い、肥満や生活習慣病にならないような生活習慣を目指しましょう。
頭部の強い打撲歴のある人
外傷性脳損傷や意識を失うような頭部外傷がある人で前頭側頭型認知症を発症しやすいと報告されています。交通事故などに注意し、ボクシングやラグビーなどの頭部を強打しうるスポーツは控えることが望ましいでしょう。
配信: Medical DOC