「温熱蕁麻疹」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

「温熱蕁麻疹」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

温熱蕁麻疹の治療

温熱蕁麻疹の治療は、原因である温熱刺激を避ける取り組みを心がけたり、症状を抑えるための薬物療法を行ったり、状態によっては「寛容誘導」と呼ばれる治療が行われることもあります。

適切な治療を受けていれば症状が出現しない状態を目指すことを目標に、蕁麻疹が誘発される刺激を避けるよう指導が行われます。

薬物療法

温熱蕁麻疹の薬物療法では、「抗ヒスタミン薬」が中心に用いられます。蕁麻疹は、何らかの刺激によってマスト細胞からヒスタミンが放出されることで発症します。そのため、温熱蕁麻疹を認める場合には、抗ヒスタミン薬を用いてヒスタミンの作用を抑えます。

抗ヒスタミン薬には、外用薬、内服薬、注射薬があります。外用薬は痒みを抑える程度の効果は期待できるものの、十分な効果を期待するためには内服薬や注射薬による投与が必要です。

抗ヒスタミン薬の内服薬や注射薬は、副作用として眠気が生じる可能性があるため、車の運転などをする際には注意が必要です。
また緑内障や前立腺肥大を発症している場合は、抗ヒスタミン薬の使用によって症状が悪化する恐れがあります。緑内障や前立腺肥大の治療中の人は、必ず主治医の指示に従って内服するようにしましょう。

温熱蕁麻疹の薬物療法は抗ヒスタミンのほか、補助的に免疫変調薬や漢方薬などが用いられることもあります。

寛容誘導

寛容誘導は、皮膚に繰り返し温熱刺激を加えることで刺激の耐性を作る治療法です。

温熱刺激は日常の中で多く接触する機会があり、完全に防ぐことは困難です。蕁麻疹の原因を完全に避けられない場合は、原因を避けるのではなく、あえて接触することで体の耐性を作る考え方があります。

しかし、寛容誘導は試験段階の治療法で、アレルギー反応を誘発させる恐れもあります。寛容誘導の適応判断や実施に関しては慎重に対応する必要があるほか、十分な知識と経験を有する専門医に受ける必要があります。

温熱蕁麻疹になりやすい人・予防の方法

温熱刺激によって一度蕁麻疹を起こしたことがある人は、その後も症状が出現する可能性があります。

入浴時や暖房便座の使用によって皮膚に膨隆疹や痒みを認める場合には、速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。症状が誘発されるのを防ぐため、原因となる温熱刺激を避けるようにしましょう。

関連する病気

物理性蕁麻疹

風緑内障

前立腺肥大

参考文献

公益社団法人日本皮膚科学会「じんましんってどんな病気ですか?」

日本皮膚科学会ガイドライン「蕁麻疹診療ガイドライン2018」

森桶聡著「蕁麻疹の診断、検査、治療」

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