「巨人症」の原因・症状はご存知ですか? 疑うべき前兆症状を併せて解説

「巨人症」の原因・症状はご存知ですか? 疑うべき前兆症状を併せて解説

巨人症の治療

巨人症の治療では下垂体腺腫に対する治療や、ホルモン異常に伴う合併症に対する治療が行われます。

下垂体腺腫に対する治療

成長ホルモンの異常な産生の原因となる下垂体腺腫を取り除いたり、小さくしたりする治療が行われます。治療には外科手術と薬物療法、放射線療法があり、患者さんの状態に応じて選択されます。

外科手術

下垂体腺腫を取り除く「経蝶形骨洞的(けいちょうけいこつどうてき)下垂体腺腫摘出術」では、一般的に頭蓋骨を開かず鼻から器具を挿入し、腫瘍を摘出します。腫瘍が大きい場合には、開頭手術が必要になるケースもあります。切除可能な部位に腫瘍の一部が残っていたり、術後に再発を認めたりする場合には、再手術が行われることもあります。

薬物療法

薬物療法は、手術で腫瘍を完全に取り除けなかった場合などに行われます。薬物療法では、一般的に「ソマトスタチン誘導体」や「GH受容体拮抗薬」などの注射薬、「ドパミン作動薬」の内服薬が用いられます。

放射線療法

放射線療法は、術後に腫瘍の一部が残っていて症状が軽快しない場合や、薬物療法を行なっても十分な効果が得られない場合などに行われます。放射線療法では「ガンマナイフ」や「サイバーナイフ」などの定位的放射線治療が優先的に考慮されます。

ガンマナイフは、腫瘍がある部位にX線よりも短い波長の電磁波(ガンマ線)を照射する治療です。通常の放射線療法では、患部のみでなく周囲の組織にまで悪影響が及ぶリスクがありますが、ガンマナイフはガンマ線を照射した患部のみに作用します。

サイバーナイフは、自在に動くロボットのアームが患部に集中的に放射線を照射する治療法です。呼吸などの動きに合わせて動く腫瘍を追って放射線を照射できるため、ガンマナイフと同様、患部以外の正常な組織に与える影響が少ないことが特徴です。

合併症に対する治療

ホルモン分泌異常による合併症を認める場合には、それに対する薬物療法が行われます。

巨人症によって随伴する合併症には、「下垂体前葉機能低下症」や「中枢性尿崩症」などの内分泌疾患があります。

下垂体前葉機能低下症は、下垂体から分泌されるホルモンの一部または全部が十分に分泌されなくなる疾患で、疲れやすくなったり血圧が下がったりする「副腎不全症状」や、低体温、脈拍異常などを来す「甲状腺機能低下症状」などの症状を認めます。下垂体前葉機能低下症を呈する場合には、欠乏するホルモンを補充する治療が行われます。

中枢性尿崩症は、下垂体から分泌される「抗利尿ホルモン」の分泌が低下することで尿が大量に排泄される疾患です。発症を認める場合には、大量の尿が排泄されるのを抑える「デスモプレシン(DDAVP)」という薬剤が用いられます。

巨人症になりやすい人・予防の方法

下垂体腺腫を認める場合は、巨人症を発症するリスクがあるため、定期的に医師の診察や経過観察を受け、適切な治療を受けましょう。

関連する病気

先端巨大症

マッキューン・オルブライト症候群

下垂体前葉機能低下症

中枢性尿崩症

参考文献

小児慢性特定疾病情報センター「下垂体性巨人症」

小児慢性特定疾病情報センター「先端巨大症」

公益財団法人難病医学研究財団難病情報センター「下垂体前葉機能低下症(指定難病78)」

小児慢性特定疾病情報センター「中枢性尿崩症」

日本血栓止血学会誌「DDAVPの使い方」

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