「膠芽腫」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

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膠芽腫の治療

手術治療と放射線治療、薬物療法を組み合わせた治療を行います。

腫瘍の場所によってはすべての腫瘍を摘出することが難しい場合もありますが、手術治療では、脳の機能を温存しながら可能な限り腫瘍を取り除きます。膠芽腫の場合は、神経症状を悪化させないよう、できる限り早急に腫瘍を摘出することが重要です。手術で可能な限り腫瘍を摘出した後は、放射線治療や薬物療法を行います。

放射線治療は放射線を腫瘍細胞に照射し、腫瘍細胞を殺傷する治療法です。正常な脳になるべく影響を及ぼさないよう、局所放射線を通常6週間かけて照射します。高齢の方は放射線治療によって認知機能が低下するリスクもあるため、全身状態や神経症状などに応じてご本人やご家族と相談しながら治療を進めていきます。

薬物療法では、テモゾロミドという抗がん薬や、腫瘍が新たな血管を増殖させるのを阻害するベバシズマブという薬剤などが使用されます。

膠芽腫の新たな治療法として期待されているのが電場によるTTF(Tumor Treatment Field)治療で、交流電場療法とも呼ばれます。TTF治療は治療機器を1日18時間以上装着し、交流電場を腫瘍に放射することで腫瘍細胞の分裂を停止させて、増殖を阻害する効果があります。

膠芽腫は初期治療の終了後、数ヵ月から1年以内に再発することが多いとされています。再発時の有効な治療法は確立されていませんが、手術や抗がん薬の変更、追加などが行われることが一般的です。膠芽腫は再発率も高く予後の悪い脳腫瘍ですが、臨床試験が日々進められ、今後の新たな治療法の開発が期待されています。

膠芽腫になりやすい人・予防の方法

膠芽腫など神経膠腫の原因となる遺伝子の異常は、突然変異によるものが多く、遺伝や環境の要因との関係性は少ないと考えられています。
膠芽腫の予防方法はありません。

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参考文献

国立研究開発法人 国立がん研究センター 希少がんセンター 脳腫瘍

国立研究開発法人 国立がん研究センター がん情報サービス 神経膠腫(グリオーマ)について

脳外誌 27巻2号 2018年2月 特集 悪性脳腫瘍治療の課題と展望 エビデンスに基づく膠芽腫の治療と課題

一般社団法人 日本神経学会 「神経学的検査チャート作成の手引き」

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