「甲状腺クリーゼ」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「甲状腺クリーゼ」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

甲状腺クリーゼの前兆や初期症状について

甲状腺クリーゼでは、主に次のような症状が現れます。

中枢神経症状:不穏・せん妄・精神異常・けいれん・傾眠・昏睡など

38℃以上の発熱

頻脈:1分間で130回以上

心不全症状:肺水腫(血液の成分の一部が血管の外へ滲み出す)、心原性ショック(急激に心臓の働きが低下しり)

消化器症状:嘔気・嘔吐・下痢・黄疸など

(出典:甲状腺クリーゼ診療ガイドライン 2017Digest 版| 日本甲状腺学会・日本内分泌学会)

甲状腺クリーゼを発症すると、熱が高くなり脈が速くなって意識がもうろうとします。

また、心臓や肝臓の機能が著しく低下するため全身が黄色くなる黄疸が現れることもあります。呼吸ができなくなったり意識を失ったりなど重篤な症状が進行するケースもあります。

これらの症状が見られた場合は、早急に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。

甲状腺クリーゼの検査・診断

甲状腺クリーゼ診断には、血液検査が重要です。特に、T3(トリヨードサイロニン)やT4(チロキシン)などの甲状腺ホルモンのレベルを測定し、過剰な分泌があるか確認するのが一般的です。

甲状腺刺激ホルモン(TSH)の低下もチェックし、甲状腺の異常を特定します。

また、甲状腺クリーゼでは、頻脈や心房細動を始めとした不整脈を認めるため、心電図検査が用いられます。

ほかにも、心不全症状が疑われるときは、胸部X線検査や血液検査で心不全に関連した症状(心臓の拡大や肺水腫など)がないかをチェックする場合もあります。

これらの検査をもとに甲状腺クリーゼを診断します。具体的な診断基準は、必須項目(甲状腺中毒症の存在 :遊離型のT3およびT4のいずれかが高値)を満たしたうえで、次の項目に該当する場合です。

中枢神経症状+他の症状の項目1つ以上、または
中枢神経症状以外の症状の項目3つ以上
(出典:甲状腺クリーゼ診療ガイドライン 2017Digest 版| 日本甲状腺学会・日本内分泌学会)

必須項目に該当しているか確認できなければ、正確な診断はできません。さらに、甲状腺クリーゼの症状は、他の病気と似ているケースもあるため鑑別が必要です。

早期の診断と治療が予後を大きく左右するため、診断が確定したらすぐに治療が開始されます。

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