甲状腺クリーゼの治療
甲状腺クリーゼは生命に関わる状態であるため、集中治療室に入室して血圧や呼吸の管理をすることが不可欠です。
治療の目的は、甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑制し、早急に症状を緩和させることです。
血液中の甲状腺ホルモンを減らして影響を軽減させるために、ホルモンの合成や分泌を抑える抗甲状腺薬や無機ヨウ素、副腎皮質ホルモン(ステロイド)などの投与を行います。
これにより、体内の甲状腺ホルモンレベルが急速に低下し、症状の改善が期待されます。
また、対症療法としてβ遮断薬が処方されることがあり、心拍数を抑制させて動悸や不安感などの症状を軽減します。
同時に、甲状腺クリーゼの原因となる基礎疾患(バセドウ病など)や中枢神経症状、消化器症状への治療が行われることがあります。
甲状腺クリーゼは迅速な対応が重要であり、適切な治療を受けることで予後が改善されます。
甲状腺クリーゼになりやすい人・予防の方法
甲状腺機能亢進症(バセドウ病や甲状腺炎など)の既往歴がある人は、甲状腺クリーゼを発症しやすいです。
特に、未治療または治療が不十分な場合は、急激なホルモン変動が引き金となることがあります。
また、手術や外傷、感染症などの身体的ストレスを受けた場合も甲状腺クリーゼが引き起こされる恐れがあります。これらの状況下では、体内のホルモンバランスが急激に崩れることがあります。
甲状腺クリーゼの予防策は、甲状腺機能異常の早期発見と適切な管理が重要です。定期的な甲状腺機能検査を受けることで、異常を早期に発見し、治療を開始できます。特に、甲状腺疾患の家族歴がある場合は、早めの検査と診断が推奨されます。
またストレス管理や生活習慣の改善も有効です。規則正しい生活や適度な運動、バランスの取れた食事が甲状腺機能の安定に寄与します。
これらの対策を講じることで、甲状腺クリーゼのリスクを低減し、健康を維持することが可能となります。
関連する病気
甲状腺中毒症
甲状腺炎
心房細動
参考文献
甲状腺クリーゼ|一般社団法人日本内分泌学会
甲状腺クリーゼ診療ガイドライン 2017Digest 版| 日本甲状腺学会・日本内分泌学会
甲状腺クリーゼ|日本救急医学会
配信: Medical DOC
関連記事: