尿路結石の治療
疝痛発作を生じた場合、尿路結石が通過するまでの疼痛緩和と補水が治療となります。特別な治療などは必要ないため、経口で水分補給ができない場合や痛みと発熱が抑えられない場合を除いて自宅療養が可能です。
ただ、もし尿が全く出なかったり、耐え難い痛み・吐き気や嘔吐があったりする際には早急に泌尿器科を受診しましょう (参考文献 2) 。
疝痛発作に対する鎮痛薬としてはまず非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) が推奨されます。ただ、非ステロイド性抗炎症薬と同時に服用してはいけない薬を服用している場合や重度の腎機能障害がある場合、非ステロイド性抗炎症薬だけでは十分な疼痛の緩和ができない場合はオピオイドなどの鎮痛薬が勧められることもあります (参考文献 2) 。
尿路結石が通過するかどうかは結石の大きさと位置によります。小さく且つ尿道口に近いほど介入なく排出される可能性は高いです。
一方で、尿路結石が自然に排出されない場合には結石の通過を促進するような薬を飲んだり、結石を粉砕するような手術を行うこともあります (参考文献 1,2) 。
また、疝痛発作が収まったからといって尿路結石が通過したとは限りません。そのため、結石が通過したかどうかを確認するためにはCTもしくは超音波検査を用いた画像検査が必要となります (参考文献 2) 。
尿路結石になりやすい人・予防の方法
尿路結石の罹患率は尿路結石がどこにできるかによって異なります。
尿路結石が上部尿路 (腎盂・尿管) にできる上部尿路結石症の年間罹患率 (1年間 で罹患した人の割合) は1960年頃に比べると2000年代には約3倍に増加しています。これは食生活の欧米化などが原因と言われています。
しかし、その後、2005年以降の年間罹患率は2015年の調査結果までほぼ変化がなく、近年は増加傾向が止まっています。
一方、尿路結石が下部尿路 (膀胱、尿道) にできる下部尿路結石症の年間罹患率は高齢化の影響により現在までずっと増加しています。特に高齢の女性において顕著に増えており、過去50年間で80歳代の女性では7.5倍増加しました。
対して20代〜30代の若年層では男女ともに罹患率は減少傾向にあります (参考文献 4) 。
それでは、尿路結石を予防することはできるのでしょうか。
実は、尿路結石、中でもカルシウム含有結石の再発率は30〜50%にもなり、再発を予防することが非常に重要となります(参考文献 1) 。そこでここでは、尿路結石の再発を予防するための一般的な方法を3つ紹介します(参考文献 4) 。
水分摂取
1日約2Lの尿が出るくらい、食事以外に1日2L以上の水を飲む
食事
バランスのとれた食事をとる
カルシウム摂取量を 1日 当たり 600~800mg にする
動物性たんぱく質の摂りすぎを避ける (体重 1㎏ あたり 1日1g になるように)
塩分の摂りすぎを避ける (男性 1日7.5g 未満、女性 1日6.5g 未満)
生活
肥満を予防する
適度な運動をする
参考文献
矢崎義雄 et al.「内科學第11版」(朝倉書店、2017年)1507-1508ページ
UpToDate. “Kidney stones in adults: Diagnosis and acute management of suspected nephrolithiasis” (Last updated: May 03, 2024)
UpToDate. “Kidney stones in adults: Prevention of recurrent kidney stones” (Last updated: Jul 23, 2024)
日本泌尿器科学会等「尿路結石症診療ガイドライン第3版」 (医学図書出版、2023年8月)
配信: Medical DOC
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