「はしか」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

「はしか」を疑うべき初期症状はご存知ですか? 原因を併せて医師が解説

はしかの前兆や初期症状について

はしかは通常、感染後10〜12日間の潜伏期間を経て現れます。
最初の症状として、発熱、咳、鼻水、結膜炎 (目の充血) 、咽頭痛が数日間続きます。この時期を「カタル期」と言います。発熱は一度落ち着き、また、同程度の時期にコプリック斑と呼ばれる小さな白い斑点が口腔内の頬の内側に現れます。
その後、体温は再び 39℃ 以上になり、同時に顔や首に赤い発疹が現れ全身に広がります。この時期を「発疹期」と言います。発疹が全身に広がるころにはコプリック斑は消失します。
高熱や発疹は数日間持続し、下痢や脱水症状を認めることもあります。合併症がなければ7〜10日程度で症状は軽快し、発疹は色素沈着を残した後に消退します。かさぶたのようなものが途中でできることもあります。

合併症としては肺炎が最も多く、他には中耳炎、クループ症候群 (急性声門下喉頭炎) 、心筋炎、脳炎があります。脳炎は1000人中0.5〜1人に合併し、致命率が約15%、回復しても約20〜40%に重度の後遺症を残すと言われています (参考文献 1) 。

はしかの検査・診断

はしかの診断には、ウイルス遺伝子の検出やはしかに特異的なIgM・IgG抗体の検査が重要です。
日本では、はしかに似た他の疾患 (風疹など) と見分けるためにPCR法によるウイルス遺伝子検出とIgM抗体の測定が求められています。こうしたウイルス遺伝子型の情報は流行ウイルス株の解析や公衆衛生上の管理に不可欠となっています。

現在日本では、症状などからはしかを疑った場合は、発疹出現後7日以内に血液・咽頭拭い液・尿を採取して保健所に提出すること、および発疹出現後4~28日に特異的IgM抗体の検査を行うことが推奨されています (参考文献 2) 。

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