はしかの治療
はしかの治療は、基本的に対症療法が中心です。
麻疹ウイルスに対する特効薬は存在しないため、治療は症状の緩和と合併症の予防を目的とします。十分な休養と水分補給、そして高熱や痛みがある場合には解熱鎮痛剤 (例えばアセトアミノフェンなど) が使用されます。
合併症が疑われる場合にはそれに応じた治療が行われます。例えば、細菌性の二次感染が発生した場合には、抗菌薬が投与されます (参考文献 1,3) 。
はしかになりやすい人・予防の方法
はしかの予防方法の中で最も有効な方法は、麻疹ワクチンの接種です。
日本では予防接種法の対象ワクチンとして区市町村が予防接種を実施しています。定期接種では麻疹風疹混合ワクチン (MRワクチン) として実施されており、第1期は1歳前後の乳幼児にワクチン接種を行い、第2期として小学校入学前 (5歳以上7歳未満) の子どもに追加接種を行うことになっています。
1回の接種を受けることで93~95%程度の人が麻疹ウイルスに対する免疫を獲得できると言われており、2回の接種を受けることで97~99%程度の人が免疫をつけることができると言われています (参考文献 3) 。
初めてワクチンを接種した際は、接種後に発熱 (約20〜30 %) や発疹 (約10%) が見られますが、ほとんどは自然に消滅します。また、接種後30分は失神がアナフィラキシー反応に注意する必要があります。
女性の場合、接種後2か月間は妊娠を避けましょう (参考文献 3) 。
もし免疫のない人がはしかに罹っている人と接触すれば、ほぼ確実に感染すると言われています。その場合に発症を防ぐためには、接触から 72時間以内にワクチンを接種する、もしくは4日以上6日以内にガンマグロブリンを筋肉注射するという方法があります。
しかし、ガンマグロブリンの使用にあたっては医師と十分に相談する必要があり、またいずれの方法をとったとしても確実に発症を防げるわけではありません。疑わしい症状が出たら医療機関を受診しましょう (参考文献 4) 。
また、もしはしかに罹ってしまった場合は周囲への感染拡大を予防するために、感染力の高い「症状が出現する1日前 (発しん出現の3~5日前) から発しん消失後4日くらいまで(または解熱後3日)」の間は学校・職場を休むことが重要です (参考文献 4) 。
参考文献
矢崎義雄 et al.「内科學第11版」(朝倉書店、2017年) 322-323ページ
厚生労働省「2016年改訂:最近の知見に基づく麻疹の検査診断の考え方」(最終閲覧日2024年9月2日)
国立感染症研究所「麻しんとは」(NIID、2024年8月23日改訂、最終閲覧日2024年9月2日)
東京都感染症情報センター「麻しんQ&AIII麻しんへの対応」(最終閲覧日2024年8月23日)
配信: Medical DOC
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