監修医師:
大坂 貴史(医師)
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。
卵巣嚢腫の概要
卵巣嚢腫は、卵巣内またはその表面に液体やその他の物質が蓄積し、嚢胞が形成される病態を指します。
卵巣に嚢胞性の病変が発生する確率は、女性の全生涯でみると5-7%程度とされ、その中に良性から悪性腫瘍までさまざまな卵巣での嚢胞性の病変が存在します。その大部分は良性ですが、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合もあります。
卵巣嚢腫の発生は、特に生殖年齢の女性で頻繁に見られますが、閉経後の女性においても発生することがあります。嚢腫のサイズや内容物、発生部位により、治療方針や経過観察の必要性が変わります。
卵巣嚢腫の原因
卵巣嚢腫は、その成因によって機能性嚢胞と病的な嚢胞に大別されます。
機能性嚢胞は主にホルモンの変動によって発生し、自然に消失することが多いとされています。機能性嚢胞は、女性の月経周期に関連したホルモンバランスの変動によって引き起こされます。卵巣内で卵胞が成長する過程で、排卵が正常に行われないことで形成される嚢胞や、排卵後に黄体が液体を蓄積することで形成される嚢胞も機能性嚢腫の一種です。
一方、病的な嚢胞は、胚細胞や上皮細胞からの異常な増殖に起因することが多く、それぞれの由来となる細胞や内容成分によって漿液性嚢腫、粘液性嚢腫、成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢胞)、チョコレート嚢腫などの様にさまざまな種類に分けられます。
また、これらの細胞の種類によっては悪性腫瘍と判断されることもあります。
配信: Medical DOC