「卵巣嚢腫」の初期症状はご存知ですか? 原因・なりやすい人の特徴を併せて医師が解説

「卵巣嚢腫」の初期症状はご存知ですか? 原因・なりやすい人の特徴を併せて医師が解説

卵巣嚢腫の前兆や初期症状について

卵巣嚢腫は多くの場合、無症状で経過するため、定期的な健康診断や婦人科検診で偶然発見されることがよくあります。
しかし、嚢腫が一定のサイズに達すると、次第に症状が現れることがあります。以下に一般的な前兆や初期症状を示します。

下腹部や骨盤の痛み:
嚢腫が大きくなると、周囲の臓器や組織に圧迫感や痛みを引き起こすことがあります。特に片側に痛みが集中することが多いです。
腹囲の増大:
嚢腫が非常に大きくなると、下腹部が膨らんで見えることがあります。このような場合、見た目にも異常が現れ、着衣がきつく感じることがあります。
膀胱や腸の圧迫:
大きな嚢腫は膀胱や腸を圧迫し、頻尿や排尿困難、便秘などの症状が出現することがあります。
月経異常:
嚢腫がホルモンバランスに影響を与えると、月経周期の乱れや過多月経、月経痛の悪化が見られることがあります。
急性の腹痛:
嚢腫の破裂や、嚢腫ごと卵巣の茎がねじれる(茎捻転)と、突然の激しい腹痛が発生することがあります。このような場合、緊急手術が必要です。

これらの症状は、嚢腫の大きさや場所、成分によって異なります。
また、嚢腫が悪性である場合、症状が急速に進行することがあり、体重減少や持続的な疲労感、急激な腹囲の増加が見られることがあります。このような症状が現れた場合、速やかに医療機関(特に産婦人科)を受診することが重要です。

卵巣嚢腫の検査・診断

基本的には診察は産婦人科で受けられることをお勧めします。
一般的な産婦人科での受診の流れを説明して行きます。

問診と身体診察

症状の詳細、月経周期の異常、既往歴、家族歴などを含む問診が行われます。続いて、骨盤内の触診や内診により、卵巣の腫大や圧痛を確認し画像診断等の精査へ進んでいきます。

画像診断

経腟超音波検査または経腹超音波検査:
卵巣嚢腫の診断において最も使用される検査です。嚢腫のサイズ、内部構造(液体性か固形性か、多房性か単房性か、血流があるかなど)を評価し、悪性の可能性を示唆する所見がないかを確認します。

MRIやCTスキャン:
超音波検査で不明確な場合や、悪性腫瘍の疑いが強い場合に使用されます。MRIは特に軟部組織の評価に優れており、嚢腫の性状を詳細に把握することができます。

血液検査

腫瘍マーカー測定:
悪性腫瘍を疑う場合、悪性腫瘍との鑑別を行うために腫瘍マーカーを測定することがあります。腫瘍マーカーが異常高値を示す場合は悪性の可能性が高いですが、腫瘍マーカー自体も月経や良性疾患、喫煙などの生活習慣でも上昇することがあるため、単独での診断には限界があります。

病理診断

画像診断や血液検査で悪性が疑われる場合、または嚢腫の性状を確定するために、外科的に嚢腫を摘出し、病理組織検査を行います。

悪性腫瘍と良性腫瘍の鑑別が重要であり、特に急速に大きくなっている嚢腫や悪性を疑うような所見がある卵巣嚢腫は、迅速かつ正確な診断が求められます。

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