胆嚢炎の前兆や初期症状について
胆嚢炎の原因となる胆石症の段階で察知できればよいのですが、胆嚢に胆石があるだけでは症状が出ないことがほとんどです (参考文献 3)。
胆石症が胆嚢炎に進展した場合に自覚資する症状として最も頻度の高いものは腹痛で、みぞおちの辺りの痛み (心窩部痛) と、右肋骨の辺りの痛み (右季肋部痛) を合わせると8割前後の方に自覚症状として現れるとされています (参考文献 2) 。この腹痛は4〜6時間以上続く強い痛みであることが多く、背中や右肩にも痛みが響くという方もいます (参考文献 4) 。
また、よくよくお話を聞いていいると「脂っこい食事をした後にお腹が痛くなった!」と分かることも多いです (参考文献 4) 。
腹痛の次に多い症状は吐き気と嘔吐で、38℃を超える発熱は3割程度の患者に現れるとされています (参考文献 2) 。
これらの症状があれば内科を受診するのがよいかと思いますが、我慢できないような強い痛みであれば救急車をよんだり、救急外来受診も考えてみてください。
胆嚢炎の検査・診断
急性胆嚢炎の診察では、同じく胆道の通り道である急性胆管炎に加えて、痛みが出る場所が似ている胃や十二指腸の潰瘍性病変や心疾患などを除外することが大切です (参考文献 2, 4)。
問診や身体診察の他に、超音波検査や胆道造影検査、CT検査、MRCP検査 (MRIの一種で、胆道系の器官にフォーカスした撮影をすることができる) といった画像検査が診断において重要になってきます (参考文献 4)。急性胆嚢炎の場合は、これらの画像検査で胆嚢の壁が分厚くなっていたり、むくんでいるといった所見が得られます (参考文献 4)。画像検査のなかでは超音波検査が一番簡単でコストも低いので、最初に行われることが推奨されています(参考文献 2)。
身体診察やエコーでの検査の際に肋骨のしたを触られながら「大きく息を吸ってください」と言われることがあります。胆嚢炎の患者さんでは肋骨の下を圧迫された状態で大きく息を吸おうとすると痛みで息が吸えなくなるといった所見が得られることがあり、Murphy (マーフィー)徴候とよばれています (参考文献 2, 4)。
また、血液検査では胆汁の流れが滞っていたり、流れ道が障害されている場合に上昇する酵素や物質の値をチェックします (参考文献 4) 。
配信: Medical DOC