強迫症 (強迫性障害)の前兆や初期症状について
強迫症の症状
概要の項でも触れましたが、強迫症には「強迫観念」「強迫行動」といった症状があります (参考文献 1, 2, 3)。
車を運転しているときに人を轢いてしまったのではないか (強迫観念)
→ 走った道を何度もチェックしに戻る (強迫行動)
窓を開けっ放しにしたまま家を出てきたのではないか (強迫観念)
→一旦帰宅して窓がしまっているかチェックする (強迫行動)
計算ドリルで一度でも書き間違えしたら全て初めからやり直さないといけない感じがする (強迫観念)
→ひっ算で書き間違えをしたら、そのページの全ての問題をやりなおす (強迫行動)
左右対象じゃないと恐ろしいことが起きる気がする (強迫観念)
→左右対称になるよう物を移動させたり、自分の視点を移動させる (強迫行動)
そのほか、「加害恐怖」や「回避行動」といった症状もあります (参考文献 1, 2, 3) 。
友人と2人で話しているときに「いまこの人の顔面を殴ったらどうなるのだろうか、本当にやってしまうのではないか」といった考えが浮かぶ (加害恐怖)
強迫観念や加害恐怖を引き起こすような場所やシチュエーションを避ける (回避行動)
最新の分類 (DSM5-TR) では、強迫観念が満たされていない状態で感じる「さっぱりしない」「気持ち悪い」「こわばる」といった感覚の異常 (感覚現象) や、家族などの周囲の人に「大丈夫だと太鼓判を押してもらう」「鍵がかかっているか確認してもらう」といった巻き込みについての記載もあります (参考文献 1, 3) 。
強迫症では、これらの強迫観念や強迫行動によって多くの時間がとられてしまったり、「ばかげている」「不合理だ」という自覚していることが多く、患者本人が苦しむ一因となっています(参考文献 1, 2, 3)。
強迫症の初期症状
「強迫観念」「脅迫行動」といった強迫症の症状は緩やかに発症することが多く、この疾患の症状が治療可能なものであると患者本人が認識するまでに長い期間苦しむことがあります(参考文献 1)。
小学生や中学生の年代で発症する人が多く、35歳を過ぎてからの発症は少ないとされています(参考文献 1)。
年齢が幼いときは、強迫行動が他の人から分かりやすい状況にある (家庭内、学校内他の人の目が多い) ので、症状の察知がしやすいです (参考文献 1) 。
治療されなかった場合、強迫症は慢性的な経過をたどることも多いです (参考文献 1) 。
強迫症 (強迫性障害)の検査・診断
DSM-5-TR では、強迫症の診断は次のA-D が当てはまるときに診断されます (参考文献 1)
A:強迫観念または強迫行動、もしくはその両方がみられること
【強迫観念:1-1 と 1-2 の両方】
1-1
反復的かつ持続的な思考、衝動、イメージで、その障害のある時期に、侵襲的で望ましくないものとして経験され、多くの人にとって強い不安や苦痛を引き起こすもの
1-2
1-1のような考え、衝動、またはイメージを無視または抑制しようとするか、違うことを考えたり、強迫行動を実行することで中和しようとする
【強迫行動:2-1 と 2-2 の両方】
2-1
強迫観念や、厳格に守らなければならないと考えているルールに基づいて、本人が駆り立てられるように実行する繰り返しての行動 (例、手洗い、注文、確認) や、繰り返すな精神的行為 (例、祈る、数を数える、黙って言葉を繰り返す)
2-2
2-1のような繰り返す行動・繰り返す精神的行為は、不安や苦痛を予防・軽減したり、何か恐ろしい出来事や状況を予防したりすることを目的としている
しかしながら、これらの行動や精神的行為は、現実的にはそれらの不安の中和や予防に結びついていないか、明らかにやりすぎである。
B:強迫観念や強迫行為に、一日一時間以上といったような時間がかかるか、社会的、職業的、または他の重要な社会的機能において、重大な障害を引き起こしている。
C:強迫症状は、違法薬物や薬物乱用、他の医学的問題に起因するものではない。
D:その障害は、他の精神障害の症状ではうまく説明できない
配信: Medical DOC