監修医師:
大坂 貴史(医師)
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。
神経痛の概要
神経障害性疼痛(神経痛)とは、神経が何らかの原因で刺激されたり、損傷を受けたりすることにより、鋭い痛みやしびれ、灼熱感などが生じる状態を指します。
神経痛は通常、痛みが神経の走行に沿って広がるため、特定の部位に局所的な痛みが現れることが多いです。代表的な神経痛として、三叉神経痛、坐骨神経痛、帯状疱疹後神経痛などがあり、これらの神経痛は原因や症状の現れ方が異なります。
神経痛は単なる筋肉痛や関節痛とは異なり、神経そのものが影響を受けるため、非常に鋭い痛みが特徴です。また、痛みは突発的で、しばしば慢性的に続くことがあり、生活の質に大きな影響を与えることがあります。軽度な症状から重度な症状までさまざまであり、適切な治療を受けることが必要です。
神経痛の原因
神経痛は、さまざまな要因で神経が損傷したり、圧迫されたりすることで発症します。神経の損傷や圧迫が起こる原因としては、以下のようなものが挙げられます。
1. 神経の圧迫
神経が周囲の組織に圧迫されることで神経痛が発症します。例えば、椎間板ヘルニアによって背骨が圧迫されると、坐骨神経が影響を受け、坐骨神経痛が発生します。
また、関節炎や腫瘍が神経を圧迫することでも痛みが生じることがあります。
2. 感染症
帯状疱疹は、ヘルペスウイルスの一種である水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発症し、これに伴って神経痛が発生します。帯状疱疹後に続く神経痛(帯状疱疹後神経痛)は、非常に強い痛みが特徴で、感染が治癒した後も長期間続くことがあります。
3. 外傷
外傷によって神経が損傷すると、神経痛が発生します。交通事故や転倒などによる外傷で神経が圧迫されたり切断されたりすることで、神経の痛みが続くことがあります。
神経は一度損傷すると修復が難しいため、慢性的な痛みが残る場合があります。
4. 糖尿病
糖尿病が原因で末梢神経が損傷し、痛みが生じることがあります。これを「糖尿病性神経障害」と呼び、手足のしびれや痛みが特徴です。糖尿病が進行すると神経の血流が悪化し、神経細胞に必要な酸素や栄養が不足するため、痛みが発生します。
5. 自己免疫疾患
自己免疫疾患により、体の免疫システムが誤って神経を攻撃し、神経に炎症や損傷を引き起こすことがあります。例えば、多発性硬化症やギラン・バレー症候群では、神経がダメージを受けることで神経痛が発症します。
配信: Medical DOC