監修医師:
大坂 貴史(医師)
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。
白癬菌の概要
白癬菌とは真菌、いわゆる「かび」に分類される病原体のひとつです。白癬菌によって引き起こされる疾患のなかで有名なものに「水虫」があり、医学的には足白癬とよんでいます。
皮膚での白癬菌感染症は足のみならず、股間や体幹部にできることもあり、「いんきんたむし」や「たむし」とよばれることも多いです (参考文献 1)。
髪の毛に感染する場合もあり、その部位の頭皮が抜け落ちてしまうこともあります。世間一般では「しらくも」とよばれることが多いです (参考文献 1)。
水虫が有名で、水虫は「痒い」というイメージ強いかもしれませんが、「痒くないから水虫ではない」「痒くないから白癬菌感染症ではない」とはいえず、治療を開始するまでの間は周り人へ白癬菌をばらまくリスクがあるので注意してください (参考文献 1)。
寮生活をはじめとした集団生活、足ふきマットを共用する銭湯、身体的接触の多い格闘技などが発症リスクとなっています (参考文献 1)。
治療では本人の症状に応じて外用薬や内服薬を組み合わせて使います。白癬菌は非常にしぶとい感染症で、一見治ったように見えても患部にはまだ白癬菌がいることが多いです。自己判断で治療を中断せずに、医師の指示通りに根気強く治療してください (参考文献 1)。
白癬菌の原因
水虫やたむしなどの白癬菌感染症は感染症ですから、白癬菌が身体について付着することから始まります。
白癬菌はケラチンという皮膚組織に多く含まれる成分を栄養源にしている真菌 (カビ) の一種です (参考文献 1)。自分のごはんが沢山あるがために皮膚に好んで感染し、人間には不快な症状を引き起こす厄介なカビだとイメージしてください。
白癬菌感染症の一種である水虫 (足白癬) が分かりやすいのでこれについて解説すると
主に家庭内で床やスリッパ、足ふきマットなどから足に付着する
ほとんどの白癬菌は足から自然に脱落していきますが、一部足に付いたままだったり、お風呂での洗浄が不十分で落としきれなかった白癬菌は足に定着し、白癬菌の感染が成立する
感染した白癬菌がその部位で症状を引き起こすほか、他の部位でも感染が成立して症状が広がる
といった流れで足白癬による感染症が引き起こされていきます (参考文献 1)。
配信: Medical DOC