「動脈瘤」を起こしやすい人の特徴をご存知ですか? 原因・症状を医師が解説

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動脈瘤の治療

瘤自体が大きくなり自覚症状が出ることもありますが、動脈瘤で本当に怖いのは、大動脈解離や大動脈瘤破裂、くも膜下出血といった非常に重篤な病態に進展した場合です。これらの疾患の発症は命の危険を意味します。これらの致死的病態について簡単に説明した後に、それらを防ぐための動脈瘤の治療法について解説します。

大動脈解離は血管の壁の内側が裂けて、壁の外側との隙間に血液が流れ込むことによって、血管壁の内側と外側が離れてしまう病態のことをいいます (参考文献 1) 。
大動脈解離は前ぶれなく突然発症するとされており、特に上行大動脈に解離が及ぶタイプでは発症から1時間に 1% ずつ死亡率が上昇していくとされています。大動脈解離で膨らんだ場所は特に血管の壁が破れやすくなっているため、血管や瘤のあった場所が破裂するリスクもあります (参考文献 1)。
また、胸部大動脈は脳、腹部大動脈は消化管や腎臓などをはじめとした重要臓器に送る血液を送るルートであるため、大動脈解離でこれらの経路が障害されてしまうことがあります (参考文献 1) 。また、動脈瘤自体がいきなり破裂することによって大量出血、命が危険にさらされることもあります (参考文献 1) 。
これらの緊急疾患を予防するために動脈瘤への治療介入が必要と判断されたならば、まずは血圧をあげるような生活習慣を見直したうえで、瘤のできた動脈の周辺を人工血管に置き換えたり、カテーテル治療によって瘤の縮小を目指すこともがあります (参考文献 1) 。

脳動脈瘤が破裂すると「くも膜下出血」という状態に陥ります。くも膜下出血を発症すると半数は死亡または昏睡状態、発症前の状態に戻れるのは4人に1人という大変恐ろしい病態です (参考文献 3) 。したがってくも膜下出血発症前に脳動脈瘤を治療することが重要で、治療選択肢としては瘤の中にワイヤーを詰めて破裂しないようにするカテーテル治療や、解開頭手術で脳動脈瘤をクリップで潰してしまう治療があります (参考文献 2, 3) 。

動脈瘤になりやすい人・予防の方法

大動脈瘤の発生には動脈硬化、高血圧、喫煙、ストレス、脂質異常症、糖尿病、睡眠時無呼吸などが関連するといわれていますが、まだ明らかになっていない部分も多いです (参考文献 1)。一部の遺伝性疾患の患者さんでは大動脈瘤になる確率が高いことが知られています (参考文献 4)。
脳動脈瘤は高血圧や喫煙、飲酒などがリスクとされているほか、遺伝性の要因があることが知られています (参考文献 5) 。
遺伝性の要因を変えることは難しいですが、生活習慣の見直しが予防につながるといえるのではないでしょうか。

参考文献

国立研究開発法人 国立循環器病研究センター.病気について 大動脈瘤と大動脈解離

国立研究開発法人 国立循環器病研究センター.病気について 脳動脈瘤

慶応義塾大学医学部外科 脳神経外科学教室. 脳動脈瘤

難病情報センター. 循環器分野 家族性大動脈瘤・解離 (平成24年度)

UpToDate. Unruptured intracranial aneurysms

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