帯状疱疹になってしまった… 後遺症を残さないためにどうすればいいか【医師解説】

帯状疱疹になってしまった… 後遺症を残さないためにどうすればいいか【医師解説】

帯状疱疹は、神経に沿って痛みや発疹を引き起こす感染症で、適切な治療を受けないと後遺症として神経痛が長期間続く可能性があります。この痛みを防ぐために、どのような対応ができるのでしょうか? そこで、帯状疱疹とその後遺症について「恵比寿いたみと内科のクリニック」の加藤類先生に解説してもらいました。

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監修医師:
加藤 類(恵比寿いたみと内科のクリニック)

九州大学を卒業後、福岡赤十字病院、九州大学病院、北海道大学病院、砂川市立病院、北海道大学病院麻酔科助教、菊名記念病院麻酔科部長、東京医療センター、国立国際医療研究センター病院麻酔科医長、済生会中央病院麻酔科部長などで経験を積みながら、ペインクリニックの外来や緩和ケアや無痛分娩にも携わる。 2024年、東京都渋谷区に「恵比寿いたみと内科のクリニック」を開院、院長となる。 医学博士、日本ペインクリニック学会ペインクリニック専門医、日本麻酔科学会麻酔科専門医・指導医、日本心臓血管麻酔学会心臓血管麻酔専門医、JB-POT。

帯状疱疹って? 医師が解説!

編集部

帯状疱疹とは何ですか?

加藤先生

帯状疱疹の原因は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)です。子どもの頃にかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスが体内に潜伏し、免疫力が低下したときに再活性化して発症します。このウイルスは、日本人の成人90%以上が保有しているとされており、帯状疱疹は誰でも発症する可能性があります。

編集部

帯状疱疹の症状はどのようなものですか?

加藤先生

帯状疱疹の初期症状は、赤い発疹と皮膚の違和感やチクチクした痛みです。発疹は痛みや違和感に遅れて出現することがあり、徐々に水ぶくれ(水疱)に変わり、通常2週間程度でかさぶたになり治癒します。痛みや違和感は神経支配に沿って体の片側に帯状に出現することが多く、夜眠れないほどの激しい痛みとなることもあります。

編集部

帯状疱疹はどのような人がかかりやすいですか? 原因は何ですか?

加藤先生

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化が原因で発症します。このウイルスは初感染時に水ぼうそうを引き起こし、治癒後も神経内に潜伏感染しています。加齢や疲労、免疫抑制剤の使用などで免疫力が低下した際に再活性化し、帯状疱疹を発症します。80歳までに日本人の約3割が発症すると言われています。

編集部

帯状疱疹はほかの人に感染しますか?

加藤先生

水ぼうそうと帯状疱疹の原因ウイルスは同じ(水痘・帯状疱疹ウイルス)ですが、感染性には違いがあります。初感染時に起こる水ぼうそう(水痘)は、抗体を持っていない人に対して飛沫感染、空気感染、接触感染の可能性がありますが、日本では幼少期に殆どの人が既感染していて15歳以上の90%の人が抗体を持っていると考えられています。一方、ウイルスの再活性化が原因となる帯状疱疹では、水ぶくれの中にウイルスが含まれており、抗体を持っていない人は接触感染する可能性があります。また、気道の帯状疱疹では飛沫感染の可能性も指摘されています。

編集部

どのような人が注意をするべきですか?

加藤先生

成人のほとんどは抗体を持っているため、帯状疱疹そのものがほかの人に感染して帯状疱疹を引き起こすことはありません。しかし、抗体を持っていない新生児や著しく免疫力が低下している人は注意が必要です。また、妊娠中に感染すると重症化しやすく、胎児にも影響があるため、帯状疱疹を発症した場合は妊娠中の方との接触を避ける必要があります。

帯状疱疹にかかったら?

編集部

帯状疱疹の治療にはどんなものがありますか?

加藤先生

帯状疱疹の治療には、抗ウイルス薬と鎮痛剤が使用されます。抗ウイルス薬はウイルスのDNA合成を妨げ、増殖を抑える効果があります。軽〜中程度の症状であれば内服薬で対応することが一般的です。症状が重い場合や免疫機能が著しく低下している場合には、入院して抗ウイルス薬の点滴治療を行うこともあります。痛みに対しては鎮痛剤が使用されますが、痛みが強い場合には神経ブロックを併用することがあります。

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