十二指腸潰瘍の前兆や初期症状について
胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの消化管潰瘍患者の 70% は無症状であるといわれており、進行するにしたがって次のような症状が徐々に出てきます (参考文献 1)。
腹痛
上腹部痛や不快感 (すぐに満腹感がでてしまう、脂っぽい食事が食べられなくなる、嘔気嘔吐など) は十二指腸潰瘍患者のなかでは最も多い症状です。痛みが背中まで響くこともあります。
十二指腸潰瘍の患者では、一般的に腹痛・腹部不快感の症状は、空腹時に悪化することが多いです。これは症状が食後に悪化することが多い胃潰瘍との違いですね。
出血
潰瘍から出血すると吐き気や吐血、血便が自覚症状として現れることがあります。典型例では吐血は「赤、またはコーヒー残渣のような色」で、血便は「黒い、タールのような色」とされていますが、当てはまらない例もあります。
穿孔・瘻孔形成
十二指腸の壁に穴が開いてしまったり (穿孔) 、他の臓器と十二指腸の中がつながってしまう (瘻孔形成)
潰瘍が深くなっていくと、じきに十二指腸の壁を突き破ってしまいます。その場合には激しい腹痛が現れることがあります。
胃と比較して十二指腸では壁が薄いので、潰瘍ができると穴が開きやすいです (参考文献 5)。
壁に開いた穴を通して、十二指腸の中と周りの臓器や組織が繋がってしまうこともあります。その場合には、繋がってしまった臓器で機能障害や感染が起こることがあります。
十二指腸潰瘍が心配になった場合の受診先ですが、一般的な内科を受診しても良いと思いますし、近くに「消化器内科」を標榜する病院があれば、十二指腸潰瘍の診断や治療のプロフェッショナルがいますので、そちらを受診してみてもよいかもしれません。
十二指腸潰瘍の検査・診断
胃潰瘍の診断において中心的な役割を果たすのが上部消化管内視鏡検査 (いわゆる胃カメラ) です (参考文献 1) 。内視鏡検査では口から長いチューブ型のカメラを入れて、食道から胃、その先の十二指腸まで観察します。
悪性腫瘍との鑑別が問題になる場合は、内視鏡での観察と同時に。潰瘍や周辺の組織を内視鏡的に生検し、顕微鏡を用いて詳しく組織構造を確かめることもあります (参考文献 1)。
また、ピロリ菌に感染しているかを確かめる検査 (尿素呼気試験や便抗原検査) を追加ですることもあります。
配信: Medical DOC