監修医師:
大坂 貴史(医師)
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。
扁桃炎の概要
一般に扁桃炎は、口の奥、口蓋垂 (のどちんこ) の左右に見える口蓋扁桃という場所で炎症が起きている状態のことを指すことが多いです。近くに咽頭があり共通することも多いため、今回は一部咽頭炎も含めて解説します。
扁桃炎は小児の病気と考えられがちですが大人も発症することがあります (参考文献 1) 。原因として溶連菌が有名ですが、実はウイルスの症例が多いことが知られています (参考文献 1) 。溶連菌感染症が原因である人の割合は、子どもでも3割以下、大人だともっと低いことが知られています (参考文献 2)
溶連菌感染症をはじめとした細菌が原因の扁桃炎症状であれば抗菌薬の効果が期待できますが、ウイルス性であれば有効な治療がないことも多いです。ウイルスが原因となる扁桃炎には抗菌薬によって有害な反応が出るものがあり (参考文献 3) 、抗菌薬の使用には専門家による判断が必要です。
扁桃炎の原因
溶連菌が原因として有名ですが、実はウイルス感染によるものの方が多いとされています (参考文献 1) 。溶連菌感染によるものである咽頭炎・扁桃炎の割合は、小児で 15-30%、大人では 5-10% とされています (参考文献 2)。原因となるウイルスには色々ありますが、EBウイルスやサイトメガロウイルス感染によって発症する伝染性単核球症には扁桃炎の症状があります (参考文献 1) 。他にも有名なものだとアデノウイルスで咽頭炎・扁桃炎になることがあります (参考文献 1, 2) 。
扁桃炎の原因となる感染症の多くは飛沫感染や接触感染が主な感染経路です。EBウイルスやサイトメガロウイルスによる伝染性単核球症は、未感染の思春期以降の人がウイルスを排出している人とキスをすることで感染する場合が多いので Kissing disease と呼ばれることもあります (参考文献 3)。
配信: Medical DOC