7~11月に多い竜巻に備えよう!気象情報と避難のポイント

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気象災害の1つに竜巻による災害があります。あまりピンとこない方も多いかもしれませんが、実は日本では1年間に10~30件の竜巻が発生しています。竜巻が発生すると、列車や車が転覆したり住宅が全壊したりするなど大きな被害をもたらします。竜巻による被災を防ぐために竜巻の特徴を理解し気象情報を活用して備えましょう。

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竜巻の特徴と災害リスクについて

竜巻とは、積乱雲に伴って発生する激しい空気の渦巻きです。まず竜巻の特徴と災害リスクを紹介します。

竜巻はどんなときに起こる?

竜巻は発達した積乱雲に伴って発生するため、積乱雲があるときはいつでも起こる可能性があります。

積乱雲ができる要因はさまざまですが、特に竜巻が起こりやすいのは以下のケースです。

台風の積乱雲
低気圧の積乱雲
前線の積乱雲

また、「暖かく湿った空気」や「上空に寒気が入る」など大気の状態が不安定になって発生する積乱雲でも竜巻は多く発生しています。

なお、竜巻は一年中発生する可能性のある現象ですが、前線や台風などの影響で大気の状態が不安定になりやすい7月から11月に特に多く発生しています。

1991年から2024年における竜巻の月別発生確認数は以下のとおりです。

出典:気象庁 「竜巻等の突風データベース  > 月別の発生確認数」

竜巻の前兆

竜巻をもたらす発達した積乱雲が近づいているときには、以下のような兆候がみられる場合が多いです。

・真っ黒い雲が近づいて周囲が暗くなる

・大粒の雨や雹(ひょう)が降る

・冷たい風が吹く

・雷鳴が聞こえたり稲光が見えたりする

積乱雲は離れたところから見るとモクモクとしていて、太陽の光が遮断されるほど雲が厚いので、雲の下に入ると昼間でもかなり暗くなります。

また積乱雲の下では強雨のほか雹(ひょう)や霰(あられ)などが降ることもあり、同時に雲の上の冷たい空気を引きずり下ろすので冷たい風が吹きます。竜巻の発生前後は雷が鳴っているケースが多く、雷も竜巻の前兆の1つと言えるでしょう。

また、竜巻の前兆としては以下が挙げられます。

・雲の底から地上に伸びる漏斗雲を見た

・飛散物が筒状に舞い上がっている

・耳鳴りがする

・土や草などのニオイがする

これらは近くで竜巻が発生したときに見られる現象です。

特に漏斗雲や飛散物が筒状に舞い上がっている場所では竜巻がすでに発生している可能性があるため、早期の避難が必要となります。

気圧の急変化によって耳鳴りがする、突風によって流されてきた土や草などのニオイがするなど、五感に何らかのサインが見られることもあります。

竜巻の被害の特徴

竜巻は発生すると一定方向に向かう性質があります。竜巻の直接的な被害の範囲は、数十~数百mの幅ですが、進みながら被害をもたらすため、被害が帯状に広がり、その長さは数km~数十kmに達することもあります。

竜巻の怖さは突風が吹くことで、建物、樹木、農作物、看板、車などをなぎ倒します。強い竜巻になると住宅全壊や送電線の切断、信号機の破壊などももたらします。

建物の中にいても窓ガラスが割れてケガをしたり、飛散物が飛んできたりする可能性もあるため大変危険です。

大雨・雷・雹にも要注意

竜巻は発達した積乱雲の下で発生するため、竜巻発生時は大雨・雷・雹(ひょう)などの激しい現象にも注意する必要があります。

大雨による川の急な増水や道路の冠水、またアンダーパスの水没や地下施設への水の流入など、さまざまな被害をもたらす可能性があるため、このような場所への避難は控えましょう。

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また、平地や海岸などの開けた場所や木の近くは落雷被害に遭いやすくなるため注意が必要です。

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氷の粒が勢いよく降ってくる雹(ひょう)も体に直接あたると危険なため、近くの頑丈な建物に避難しましょう。

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竜巻の対策に役立つ気象情報

竜巻がいつどこで発生するかは、ピンポイントでは予想できません。しかし、竜巻が発生する可能性は気象情報を活用すれば事前に把握できます。竜巻の被害を防ぐためにも、気象情報を活用しましょう。

どのような気象情報を見れば、竜巻の対策になるのかを紹介していきます。

全般気象情報|半日〜1日前

竜巻の可能性について、最初に発表されるのが全般気象情報です。

半日~1日前に「竜巻などの激しい突風のおそれ」や「大雨、雷、突風に関する全般気象情報」などにあわせて竜巻の発生について言及されることが多くなっています。

ほかにも、台風や低気圧に関する全般気象情報で、竜巻の発生を言及する場合もあります。まずは全般気象情報をチェックして竜巻の可能性を把握しましょう。

https://www.jma.go.jp/jp/kishojoho/000_index.html

雷注意報|数時間〜半日前

気象注意報には竜巻注意報はありません。

そのため、気象庁は雷注意報を発表する際に、「竜巻などの激しい突風」という言葉を加え、竜巻への注意を促します。雷注意報は竜巻が発生する可能性がある数時間~半日前に発表されます。

竜巻注意情報|0〜1時間前

竜巻注意情報は、竜巻が発生しやすい状況になったときに発表されます。この情報の有効時間は発表から60分間です。

竜巻注意情報は、発表された時点ですでに竜巻が起こっていてもおかしくない状況です。ただちに竜巻から身を守る行動が必要になります。

http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/tatsumaki.html

竜巻発生確度ナウキャスト

竜巻発生確度ナウキャストは、リアルタイムで竜巻が発生しやすい場所を示す気象情報です。

竜巻発生確度ナウキャストは2段階で発生する確度を示し特に発生確度2(赤色)となったエリアは竜巻の発生する可能性が非常に高く、竜巻注意情報の発表基準になっています。

発生確度1(黄色)となっているエリアは発生確度2に比べると竜巻が発生する可能性は低いものの、竜巻が発生する可能性は十分にあります。その後に発生確度が2になる場合もあるので、状況をこまめにチェックしましょう。

http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/index.html?areaCode=000&contentType=2

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