●あの時子どもを手離して良かったな…と思っています
現在高校3年生の娘さんは、イギリスに留学中。田中さんとは離れて暮らしている。
「最初は“本当に行けるの?”と思いました。中学3年生の夏休みに、2週間くらいイギリスのサマースクールに行ったことがきっかけでしたが、帰って来たら、“私、イギリスに行く!”と言い始めて…。きっと、ものすごく楽しかったんでしょうね。英語も話せなかったし、何の準備もしていなかったので、学校の先生方にも“今からでは無理でしょう”と言われましたが、娘の思いが一途でしたし、それからの頑張りもすごかった。必死で英会話スクールに通って、中学を3月に卒業したらすぐにイギリスに行って、語学学校に通って…。たくさん勉強をして、夏休みにやっと受験をして希望の学校に合格しました」(田中さん 以下同)
イギリスと出会ってからの娘さんは、見違えるように行動的になったという。
「それまではまったくそういうタイプじゃなかったので、私も“本当に行かせていいものか”悩みました。でも、現地に知り合いがいたので、私のそんな心配をよそに、話がドンドン進んでしまって…(笑)。ホームステイ先には日本人のお母さん的な方がいらっしゃいましたし。 この間もテロがあったばかりで、テロの3日前に娘はロンドンにいたので心配しましたが、すぐに“無事です”と連絡をもらえたので、いろんな面で安心しています」
離れてからの娘さんの成長は、すさまじいものがあったと笑顔で語る田中さん。
「まあ~すごいですよね、子どもって(笑)。もう英語もペラペラだし、うらやましいです。あっという間に馴染んでしまって…。帰国する度に“また大人になったな~”と感じます」
日本人に乏しいと言われる決断力も、イギリスで養われたそう。
「日本人特有の“どっちでもいいよ”という言葉は一切言わなくなりましたね。やはりイギリスでは、曖昧な返事は通用しませんし、“YES or NO”のどちらかを問われるので、自然とそういう決断力が身に着いたのかと…。女の子だから”ハングリー精神がありすぎてもちょっとどうなのかな?“と思う反面、イギリスでちゃんとやっていけているので、今は本当に、あの時手離して良かったなと思えます。ちゃんと青春もしていて、もうそれはそれは楽しそうで…(笑)」
●子どもにいろんなきっかけを作るのが子離れの第一歩
今の日本では親の過保護が問題視され、「なかなか子離れができない」という人も多いが、そんなママたちに向けてメッセージは?
「やっぱり親離れも子離れも成長じゃないですか。いつかは絶対離さなければいけないから、子どもが“やりたい”と言うことはやらせてあげなきゃと思うし、もしも“海外に行きたい”と言うのなら、親は頑張って行かせてあげた方がいいと思います。狭い日本しか知らないよりは、海外のグローバルな面を知ることによって、世のなかにはいろんな人たちがいるということを理解できるので…。留学すると、日本にいたら知らないことがたくさん見えてくるようです」
親は“様々なきっかけ”を与えることが大切なのかもしれない…と語る。
「うちの娘は、留学したことで“日本では当たり前のことが当たり前じゃないんだ”ということに気づかされたんですね。私自身も、留学させていろんなことを経験させたかったんですけど、娘は当初、“絶対に嫌。私、友だちと離れたくないし、原宿がないと生きていけない”というタイプの女の子だったんです(笑)。それが、サマースクールがきっかけでガラッと変わったので、親がさりげなく、いろんなことに挑戦するきっかけを作ってあげるといいのかな? 合うか合わないかはもちろんあるけど、そのチョイスをさせてあげるのも子離れの第一歩だと思います」
娘さんが留学するまでは、毎朝のお弁当作りにも余念がなく、帰国した娘さんは、いまだに田中さんオリジナルの“マヨネーズ入り玉子焼きが食べたい!”とおねだりするそう。お互い離れていても、絆はしっかりと結ばれ、娘さんは1歩1歩大人の女性へと成長。田中さんは、タレント活動と並行しながら、好きで始めたヨガのイベントをこなす日々に追われている。その柔らかな表情からは、充実した様子が伺えた。
(取材・文/蓮池由美子)