「チョコレート嚢胞」が発症しやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「チョコレート嚢胞」が発症しやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
大坂 貴史(医師)

京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。

チョコレート嚢胞の概要

チョコレート嚢胞は子宮内膜症という疾患の一部です。子宮内膜症は子宮内膜に似た組織が子宮の外で増殖してしまう病気で、チョコレート嚢胞は子宮内膜組織が卵巣で増殖してしまうものです。
子宮内膜症の原因については様々な議論がされていますが、はっきりとしていないというのが現状です (参考文献 1)。
チョコレート嚢胞のもっとも一般的な症状は慢性の痛みです (参考文献 2, 3) 。その他にも様々な症状がありますが、重要なものに不妊があり、妊娠を希望される子宮内膜症患者の 3割が不妊に悩まされると言われています (参考文献 3, 4)。
検査は婦人科で行う内診や、エコー・MRIなどの画像検査が軸になります (参考文献 2, 3)。
治療にはホルモン療法や外科手術がありますが、方針の決定には将来の妊娠の希望などをふまえて、患者さん本人とコミュニケーションをとる必要があります (参考文献 3, 4)。

チョコレート嚢胞の原因

チョコレート嚢胞は子宮内膜症という疾患の一部です。子宮内膜症は子宮内膜に似た組織が子宮の外で増殖してしまう病気で、チョコレート嚢胞は子宮内膜組織が卵巣で増殖してしまい、茶色い内容物が溜まることが多いので「チョコレート嚢胞」とよばれています。
子宮内膜症自体の原因ははっきりとはしていませんが、もっとも一般的に言われているのは月経のときに本来であれば身体の外に排出される子宮内膜の一部が逆流した結果、卵管を経由して他の場所へ行きついてしまうというものです (参考文献 1) 。異常な場所で増殖した子宮内膜組織では炎症が起こり、痛みなどの症状が出てしまうとされています (参考文献 1) 。また、炎症が続くことによって卵巣が周囲の組織と癒着してしまう、または正常な卵巣機能が阻害されてしまうなどの影響で不妊症につながることもあります (参考文献 1)。

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