チョコレート嚢胞の治療
チョコレート嚢胞の治療方法は大きくホルモン療法と外科手術に分かれます。
軽症であればホルモン療法から始めることが多いです (参考文献 3)。一般的にはいわゆる低用量ピルや視床下部のホルモンである GnRH に関連するホルモン、黄体ホルモンなどが用いられます (参考文献 3, 4) 。そのほかに炎症や痛みのコントロールのためにいわゆる鎮痛剤を併用して治療をしていきます (参考文献 3)
中等症以上では手術が検討されることが多く、嚢胞だけを切り取る術式と、卵巣自体を取ってしまう術式に大きく分かれます (参考文献 3)。嚢胞だけを切り取る術式では卵巣機能は温存されますが再発のリスクがあり、卵巣自体を切り取る術式では再発を避けることはできますが切り取った卵巣の機能が失われます (参考文献 3) 。したがって手術による治療を検討する際には、本人の年齢や将来の妊娠の希望の有無なども併せて考えて方針を決めていきます (参考文献 3) 。
チョコレート嚢胞によって不妊になっている方は、外科的に嚢胞を取除くことによって自然妊娠の可能性を上げるこができますが、現在では体外受精などの技術も発展してきており、体外受精をするのか否かや、チョコレート嚢胞が体外受精の妨げになるのかどうかも治療方法に関わってきます (参考文献 3) 。
また、将来の妊娠希望がない場合、卵巣のみならず子宮や卵管もまとめて摘出するという選択もあります (参考文献 3)。
このようにチョコレート嚢胞の治療法決定には患者さん本人とのコミュニケーションが欠かせません。悩んでいることや将来の希望などがあれば担当のスタッフに遠慮なく相談してみましょう。
チョコレート嚢胞になりやすい人・予防の方法
驚かれるかもしれませんが、子宮内膜症は妊娠ができる年代の女性の約 10% が罹患しているとされています (参考文献 1) 。
子宮内膜症のリスク因子としては、家族歴、未産、初潮が早かったり閉経が遅かった人、月経周期が短い (27日以内)、月経のとき出血が多い、高身長、痩せていることなどがあります (参考文献 1)。
子宮内膜症予防のためにすることではありませんが、リスクを低減させるものとして出産回数が多いことや、授乳していた期間が長いこと、初経がおそいことなどがあげれます (参考文献 1)
参考文献
1.UpToDate. Endometriosis in adults: Pathogenesis, epidemiology, and clinical impact
2.UpToDate. Endometriosis: Clinical features, evaluation, and diagnosis
3.UpToDate. Endometriosis: Management of ovarian endometriomas
4.公益社団法人 日本産婦人科学会. 子宮内膜症
配信: Medical DOC