「インフルエンザの潜伏期間」はどのくらい?症状・予防法も解説!【医師監修】

「インフルエンザの潜伏期間」はどのくらい?症状・予防法も解説!【医師監修】

日本では例年、冬季に猛威を振るうインフルエンザですが、近年では同じく上気道症状の現れる病気として新型コロナウイルスが現れました。

どちらも高熱を主症状とする病気ですが、それぞれに潜伏期間の違いはあるのでしょうか。

またインフルエンザの予防やワクチン接種について、押さえておくべきポイントはあるのでしょうか。

本記事では、インフルエンザの潜伏期間・症状・予防方法、そして治療方法や自宅療法での注意点について解説します。

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監修医師:
眞鍋 憲正(医師)

信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。

インフルエンザの潜伏期間や症状

インフルエンザの原因や感染経路を教えてください。

インフルエンザは、インフルエンザウイルスが体内に入り込むことで起こる病気です。このウイルスへの感染によって、高熱をはじめとするさまざまな症状が起こります。感染経路は飛沫感染と接触感染の2つで、これらの感染経路を経つことがインフルエンザの予防策として有効です。飛沫感染は、くしゃみや咳などによって感染者の唾液と一緒に放出されたウイルスが、周りの方の口や鼻から体内へ入ることで感染することをいいます。このくしゃみや咳を感染者が手で押さえていた場合、その手からほかの物へ付着し、その物を経由して周りの方の体内にウイルスが入ることを接触感染と呼びます。どちらの場合であっても、マスクの着用や咳エチケットを心がけること、手洗い・アルコール消毒などの手指衛生で感染経路を断つことが感染予防として重要です。

インフルエンザの潜伏期間はどのくらいですか?

インフルエンザはウイルスの感染を受けて1〜3日の潜伏期間の後に発症します。潜伏期間後に起こる症状は大きく2つに分けられ、全身性の症状と呼吸器症状です。インフルエンザの感染で見られる全身症状は以下のとおりです。

発熱

頭痛

関節痛

筋肉痛

全身倦怠感

これに対して、呼吸器には以下のような症状がみられます。

咽頭痛

鼻汁

このほかにも、高齢者・基礎疾患のある方・妊婦・乳幼児などの免疫機能の低い状態の方は、二次的な細菌感染症を起こしやすいとされています。

潜伏期間中も周りの人にインフルエンザがうつりますか?

インフルエンザは、潜伏期間中も周りの人への感染に注意しなければならない病気です。インフルエンザの潜伏期間は最短で1日で、感染から短い期間で発症する特徴があります。しかし発症前1日から発症後3日までは体内のウイルス量が増えるため、潜伏期間であっても移すことがあるのです。インフルエンザにかかっているかもしれないと思っているときは、症状がなくても感染予防に気をつけたほうがよいでしょう。

インフルエンザと新型コロナウイルスの潜伏期間はどのくらい違いますか?

インフルエンザウイルスの潜伏期間は、1〜3日です。それに対して新型コロナウイルスの潜伏期間は最短で1日、最長で14日とされており、なかでも感染後3〜5日での発症がよくみられます。

インフルエンザの治療方法や自宅療養

インフルエンザの検査を受けるタイミングを教えてください。

インフルエンザのウイルスは身体のなかに入った後、体内で数日かけて増殖します。ウイルスの増殖は発病後2〜3日でピークに達しますが、その後は急速に減少します。ウイルスはその後も減少を続け、発症から5〜7日経つ頃には体内から消失するのが一般的です。そのためインフルエンザの検査は、検出率の上がる発症後12時間以降が推奨されています。これは、インフルエンザの検査で体内のウイルスを検出するには、ある程度のウイルス量が必要で、早期に検査を行っても検出できない可能性があるためです。

医療機関での治療方法を教えてください。

インフルエンザにかかった方のほとんどは、感染から数日の間に発症し、自然治癒します。そのため、自宅療養で軽快する方がほとんどです。しかしインフルエンザにかかったすべての方がすぐ回復するわけではなく、重症化して医療機関での入院治療が必要になる場合もあります。具体的には、すでに重症化している場合と肺炎などの合併症で重症化する恐れのある場合には、入院管理を検討します。入院して行われる治療方法は患者さんの状態によって異なりますが、主に以下の治療が検討されます。

抗インフルエンザ薬の使用

続発性肺炎の予防・治療

肺炎による呼吸不全への対応

高齢者や基礎疾患を持っているなど、免疫機能の低い方はインフルエンザが重症化しやすいです。このような方は、インフルエンザの重症化とともに生命の危険に及ぶ可能性があるため、より感染対策が重要です。

抗インフルエンザ薬にはどのような種類がありますか?

インフルエンザの治療では、抗インフルエンザ薬が処方されることがあります。抗インフルエンザ薬の種類は複数あり、医師の判断のもと処方されます。抗インフルエンザ薬の種類は、以下のとおりです。

タミフルなど(オセルタミビルリン酸塩)

リレンザ(ザナミビル水和物)

ラピアクタ(ペラミビル水和物)

イナビル(ラニナミビルオクタン酸エステル水和物)

シンメトレルなど(アマンタジン塩酸塩)

ゾフルーザ(バロキサビルマルボキシル)

抗インフルエンザ薬は、適切な時期に服用すると発熱期間が1〜2日短縮し、排出するウイルス量が減少する効果を持った薬です。薬の十分な効果を得るためには、適切な時期(発症から48時間以内)に服用する必要があります。逆に、この期間を過ぎて服用を開始しても、十分な効果が得らません。そのため、服用を開始する時期は、特に注意が必要とされています。しかし抗インフルエンザ薬は、すべての患者さんに必須の薬ではありません。そのため抗インフルエンザ薬は、インフルエンザの患者さんのなかでも医師が必要と判断し、患者さん本人・家族が希望している場合にのみ服用される薬です。

自宅療養の注意点を教えてください。

インフルエンザにかかって自宅で療養する場合、患者さん自身はしっかりと休養して十分な睡眠をとることが大切です。また、こまめな水分摂取を心がけましょう。同居している家族がいる場合には、家庭内で感染しないように気をつけることが重要です。子どもが感染している場合には見守りが必要ですが、可能であれば感染予防のため家族は患者さんと別の部屋で過ごすほうがよいでしょう。家族がマスクをつけて看護をすることも感染対策になりますが、患者さん自身にマスクをつけてもらうことで、より感染予防の効果を高めることができます。マスクをつけていても接触感染の可能性があるため、家族は看護の後には、こまめな手洗いを心がけましょう。

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