視神経脊髄炎の前兆や初期症状について
視神経脊髄炎では、病変が起こった部位によって幅広い症状が生じます。たとえば、視神経が障害されると、視力低下や視野欠損などが起こります。場合によっては完全に視力がなくなる可能性もあります。
他にも、脳に障害が起これば、運動機能や感覚機能、認知機能の障害が起こる場合があります。
さらに、脊髄で障害が起こると、手足のしびれや痛み、筋力低下が現れます。症状は身体の両側に影響がおよび、両腕や両脚が重く感じたり、動かしづらくなったりすることがあります。
初期の段階では感覚の鈍さや軽度の運動障害が現れることが多いですが、進行すると歩行困難や麻痺に至ることもあります。
視神経脊髄炎の検査・診断
視神経脊髄炎では、2006年にWingerchukらによって発表された診断基準が広く用いられています。視神経炎、急性脊髄炎に加え、以下のうち2つ以上を満たしている場合に、視神経脊髄炎と診断されます。
背骨で3カ所以上連続して病変が確認できる
抗アクアポリン4抗体が陽性である
脳のMRIでPatyの基準を満たしていない
※Paty基準は、4個以上の病変または3個の病変がありそのうち1個は脳室周囲にあること。
(出典:難病情報センター「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」)
ただし、抗アクアポリン4抗体が陽性のケースでは、視神経炎と急性脊髄炎のどちらかだけのケースもあります。
上記の診断基準を満たしているかどうかを確認するために、下記の検査を行います。
画像検査
MRIにて、脊髄や視神経の炎症や損傷、脳の病変数を確認します。また、脳のMRIで同心円状(弓道の的のような1つの中心を共有する2つ以上の円のこと)が見られる「Baló 病(バロー同心円硬化症)」との鑑別が行われます。
血液検査
抗アクアポリン4抗体の有無を調べることで、視神経脊髄炎の可能性があるかを確認します。抗体が陽性であれば視神経脊髄炎の診断が強く疑われます。ただし、抗体が陰性の場合でも他の自己免疫疾患や炎症性疾患である可能性があるため、必要に応じて追加の検査が行われることがあります。
配信: Medical DOC