視神経脊髄炎の治療
視神経脊髄炎の治療は、主に免疫の異常な反応を抑えることを目的としています。早期に適切な治療を行うことで、視力や運動機能の回復や症状の進行を防ぐことができます。以下に代表的な治療法を紹介します。
視神経脊髄炎は再発しやすい病気であるため、治療後も定期的な経過観察と、適切な治療の継続が重要です。早期の治療が視力や運動機能の維持に大きな影響を与えるため、症状が現れた際は速やかに医療機関を受診することが大切です。
ステロイドパルス療法
高用量のステロイドを点滴で投与するステロイドパルス療法は、炎症を強力に抑える作用があり、急性期の症状を抑えるために実施されます。症状が落ち着いた後も、飲み薬の形でステロイドを少量ずつ継続して使用することが一般的です。
血漿交換療法
視神経脊髄炎の急性期において、ステロイドパルス療法の効果が乏しい場合に血漿交換療法が行われることがあります。血漿交換療法は、血液中の有害な物質を取り除くことで、免疫反応を抑えることを目的にして行われます。
免疫抑制薬
免疫が自分の神経を攻撃するのを防ぐために、免疫抑制薬が使われます。免疫抑制薬は、長期的かつ再発予防治療として効果が期待できます。免疫抑制薬のなかでも、アザチオプリンやリツキシマブ、ミコフェノール酸モフェチルなどの薬が使われることが多いです。
再発予防としての薬物療法
視神経脊髄炎は再発を繰り返しやすい病気のため、再発予防としての治療も重要です。急性期には、ステロイドパルス療法が一般的に用いられた後、ステロイドの一種である「プレドニゾロン」を飲み薬として服用します。1~5錠の服用が推奨されており、再発から半年間内であれば3錠以上が推奨されています。
(出典:日本神経治療学会「標準的神経治療:視神経脊髄炎(NMD))
プレドニゾロンでの再発予防が難しい場合や副作用が懸念されるケースでは、免疫抑制薬を併用します。免疫抑制薬のなかでも、イムランと呼ばれる薬剤がよく使われます。ただし、免疫抑制薬の効果が出るまでには時間がかかります。
視神経脊髄炎になりやすい人・予防の方法
先述のとおり、視神経脊髄炎は男性よりも女性の方が発症しやすい傾向があります。加えて、他の自己免疫疾患を持つ人や、家族に自己免疫疾患の既往歴がある人も発症リスクが高いとされています。
また、年齢に関しては30~50歳代に好発しますが、それ以外の年齢でも発症することがあります。
自己免疫疾患のため確立された予防方法はありませんが、早期発見・早期治療にて症状の進行を抑えることができます。
そのため、視神経脊髄炎が疑われる自覚症状があらわれた場合には、早めに医療機関を受診することが重要です。
関連する病気多発性硬化症サルコイドーシス視神経炎全身性エリテマトーデスベーチェット病橋本病
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参考文献
日本神経学会「多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン 2023」
日本神経治療学会「標準的神経治療:視神経脊髄炎(NMD)
難病情報センター「多発性硬化症/視神経脊髄炎(指定難病13)
難病情報センター「13 多発性硬化症/視神経脊髄炎」
配信: Medical DOC
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