RSウイルス感染症とはRSウイルスの感染によって引き起こされる病気です。
RSウイルス感染症は幼い子どもが罹患することが少なくなく、重症化の危険性もある病気です。
ただ、大人でも感染することがあります。大人でウイルスに感染した場合の症状や重症化リスク・治療方法・予防方法を解説します。
さらに、RSウイルス感染症の症状や感染経路・潜伏期間をあわせて解説しますので、幼い子どもがいる家庭やRSウイルス感染症について詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
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監修医師:
眞鍋 憲正(医師)
信州大学医学部卒業。信州大学大学院医学系研究科スポーツ医科学教室博士課程修了。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本医師会健康スポーツ医。専門は整形外科、スポーツ整形外科、総合内科、救急科、疫学、スポーツ障害。
RSウイルスについて
RSウイルスとは何ですか?
RSウイルスとは、急性呼吸器感染症であるRSウイルス感染症の原因として知られているウイルスです。RSウイルスは日本を含めた世界中に存在していて、何回も感染と発症を繰り返します。特に都市部で流行を繰り返していて、流行期は2〜5ヵ月間持続するのが特徴です。RSウイルスとインフルエンザは同時に流行しないといわれています。RSウイルスは自然環境では不安定で、凍結融解や55度以上に加熱すること、界面活性剤・クロロフォルムなどで不活性化させることが可能です。ただし、家族のなかでは感染が広がりやすく、0〜6歳までの子どもがいる家庭では流行期間中に家族の約44%が感染したという結果も出ています。
RSウイルス感染症とはどのようなものですか?
RSウイルス感染症とはRSウイルスの感染による急性呼吸器感染症です。症状は発熱や鼻水・くしゃみなどの症状が数日間続きます。軽症で快方にむかうことも少なくないですが、症状が悪化していく場合は咳がひどくなる・喘鳴が出る・呼吸困難になるなどの症状が出て、場合によっては細気管支炎・肺炎・急性脳症などを発症します。特に初めて感染症を発症したときがより重症化しやすい傾向です。RSウイルス感染症は夏から増加していき秋にピークをむかえていました。しかし、2021年以降は春から増加していき夏にピークをむかえるようになっています。
RSウイルスの感染経路や潜伏期間は?
RSウイルスの感染経路は主に接触感染と飛沫感染です。接触感染とはウイルスに感染している方との直接的な接触や、感染者が触れてウイルスのついた手・指やドアノブ・椅子などのものに触れることや、なめることで感染します。飛沫感染とはウイルスに感染している方の咳やくしゃみ、会話などをしたときにお口から飛び散るしぶきを浴びて吸い込むことで感染します。潜伏期間は感染から2〜8日で、典型的には4〜6日です。潜伏期間を経て発熱や鼻水などの症状がでてきます。症状がなくなってもウイルス排泄期間が7〜21日間と長いため注意を払いましょう。
大人のRSウイルス感染症
RSウイルス感染症は大人も発症しますか?
RSウイルス感染症は大人になっても発症します。大人の発症状況は世界中で均等に発症するわけではなく、国や地域によるばらつきが大きいです。大人が発症する場合は乳児から小学生になるくらいまでの子どもがいる家庭で発症することが少なくないです。発症したとしても鼻水・くしゃみ・発熱・のどの痛みなどの風邪と似た症状でとどまることが少なくないため、風邪と勘違いしてしまうことがあります。
大人と子どものRSウイルス感染症の症状は違いますか?
大人が感染症を発症した場合の症状は鼻水や発熱などの軽い症状であることが多く、子どもの軽い症状と同じです。ただ、発症した子どもを看病する保護者や医療スタッフは、短時間に大量のウイルスを吸い込むことでインフルエンザのような症状をきたす場合があります。また、慢性呼吸器疾患などの基礎疾患をもつ高齢者が急性の重度な肺炎に進行することもあります。しかし、子どもに見られる合併症の無呼吸発作や急性脳症などの症状になることはありません。
大人でRSウイルス感染症になりやすい人は?
RSウイルス感染症になりやすい方は、特に発症した子どもと一緒に暮らす家族や近くに住んでいて面倒を見る機会のある祖父母です。ほかにも、老人ホームや介護老人保健施設などの高齢者施設内で発症した方が出た場合には感染が広がりやすい傾向があります。集団生活の場所での感染対策は徹底することは難しいので、個人それぞれの感染対策をしておくことが大切です。
大人のRSウイルス感染症は重症化しますか?
大人でも重症化することがあります。重症化する可能性があるのは高齢者や喘息・慢性閉塞性肺疾患・心疾患などの慢性的な基礎疾患がある方、免疫機能が低下している方です。重症化した場合に気管支炎や肺炎などの症状を引き起こします。高齢者の場合は長期療養施設や高齢者施設などの施設での集団感染の可能性があります。発症した子どもを看病する保護者や医療スタッフも気管支炎やインフルエンザのような症状がでることがあるので注意しましょう。
配信: Medical DOC