「溶血性貧血」を起こしやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「溶血性貧血」を起こしやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

溶血性貧血の前兆や初期症状について

まず貧血の一般的な症状には、運動時の疲労感が増す、息切れがする、頭痛、イライラといったものがあります (参考文献 2)。
溶血性貧血では、破壊される赤血球が増えることにより、赤血球に入っているヘモグロビンの分解産物であるビリルビンが増えます。このビリルビンは通常であれば肝臓で代謝されて身体の外へ排出されますが、溶血性貧血によりビリルビンの量が増えると高ビリルビン血症による症状が出てきます。具体的には身体の色が黄色くなる「黄疸」、尿の色が濃くなる、胆石ができるといったものです (参考文献 1)。
黄疸では身体の色が黄色くなるほかにも痒みが症状として出ることがあります。
貧血の症状が出たり、特に溶血性貧血を疑うような黄疸や尿の色の変化などがあれば、お近くの内科を受診してください。

溶血性貧血の検査・診断

まずは貧血があることを確認するために血液検査で赤血球の数やヘモグロビンの数値などを確認します (参考文献 2) 。これらの結果から赤血球一つ一つの大きさも大まかに把握することができ、詳細な診断の基礎となります。
溶血性貧血であることを確認する検査項目としては、網状赤血球の割合や、赤血球の破壊が増えることによって上昇する LDH やビリルビンの数値などがあります (参考文献 1)。この網状赤血球は作られたばかりの若い赤血球で、通常であれば赤血球全体の1%程度の割合です。溶血性貧血では赤血球の破壊が多くなることにより、その破壊分を補おうと骨髄は赤血球の生産を増やそうと頑張ります。その結果作られたばかりの網状赤血球の割合が増えるため、溶血性貧血を他の貧血から鑑別するための重要なデータとなるのです (参考文献 2)。

また、採取した血液を顕微鏡で直接観察することで、貧血の原因を探ることがあります。血栓により赤血球が破壊されるタイプの溶血性貧血では破壊された赤血球 (破砕赤血球) が観察できますし、特定の遺伝性溶血性貧血では赤血球が金平糖 (こんぺいとう) のような形になることがあるなど、直接赤血球の形体を観察することで診断に有用な情報が得られます (参考文献 1) 。

自己免疫性溶血性貧血の検査では、赤血球の表面に抗体がついているかチェックする「クームス試験」というものを行います (参考文献 1)。
このように、多種多様にわたる溶血性貧血のなかで患者さんがどのタイプなのか診断するために適切な検査を行っていきます。

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