「神経因性膀胱」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

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神経因性膀胱の治療

神経因性膀胱の主な治療は、次の通りです。

薬物療法

カテーテルによる治療

手術

ほかにも、骨盤底体操や膀胱訓練を実施することもあります。患者さんの症状や原因に応じて、様々な方法で治療します。

薬物療法

神経因性膀胱への薬物療法では「尿を溜めることができないのか」もしくは「尿を出すことができないのか」を見分けた上で治療を開始します。主に次の薬を使います。

薬剤名
主な作用

抗コリン薬
膀胱の過度な収縮を抑えることで、急にトイレに行きたくなったり、何度も排尿したくなったりする症状を改善する

β3受容体刺激薬
膀胱を広げて尿道を縮めることで膀胱内に尿を溜めやすくして頻尿をや急な尿意を改善する

α遮断薬
尿道の筋肉を緩めることで排尿しやすくする

コリン作動薬
副交感神経系を強めて、膀胱の収縮力を増強させる

このような薬物療法を実施しても改善がみられなかった場合に、カテーテルや手術による治療が行われることがあります。

カテーテルによる治療

薬物療法で改善がみられなかったり、膀胱内に明らかに尿が溜まっていたりする場合は、カテーテルによる治療を行うことがあります。

1日に数回、その都度カテーテルを挿入して排尿を促す方法と、一定期間カテーテルを留置する方法があります。

カテーテルを挿入して排尿を促すことで、膀胱内に尿が長期にわたって滞留することによって発症する尿路感染症を避けられます。

手術

神経因性膀胱の重症例では、まれに手術の適応となる場合があります。

膀胱拡大術

逆流防止術

尿失禁防止術

神経因性膀胱の原因や症状によって、それぞれの手術が選択されます。

神経因性膀胱になりやすい人・予防の方法

神経因性膀胱になりやすい人には、特定の疾患や神経障害を持つ人が多いです。

特に、脳血管障害やパーキンソン病、脊髄損傷など神経系に影響を与える病気を持つ方がリスクが高いとされています。さらに、糖尿病や慢性的な椎間板ヘルニア、骨盤手術による神経損傷も神経因性膀胱の原因となりやすい要因です。

予防の方法としては、まず神経系の病気の早期発見と適切な治療が重要です。例えば、糖尿病を持つ方は血糖値の管理を徹底し、神経障害の進行を遅らせることが予防につながります。

また、腰痛や背骨に関わる問題を持つ方は、無理な動作や姿勢に注意し、脊髄に負担をかけない生活習慣を心掛けることが大切です。

定期的な医療機関でのチェックアップや神経系の健康維持も、神経因性膀胱の発症リスクを軽減するための有効な手段です。

関連する病気脳血管障害

パーキンソン病

多系統萎縮症

認知症脊髄損傷多発性硬化症脊柱管狭窄症椎間板ヘルニア二分脊椎糖尿病

参考文献

尿がまったく出ない日本泌尿器学会

どのような疾患か|順天堂大学医学部付属順天堂医院泌尿器科

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