原発性アルドステロン症の前兆や初期症状について
原発性アルドステロン症の症状として有名なのは高血圧です。高血圧のなかには生活習慣が原因となるもののほかに他の疾患が原因となる二次性高血圧がありますが、原発性アルドステロン症は後者の代表的原因疾患です。近年では原発性アルドステロン症に罹患している人が、以前考えられていたよりも多いことが知られてきており、今日では高血圧患者のなかで原発性アルドステロン症を持つ患者さんの割合は 5% にものぼるのではないかと考えられています (参考文献 1) 。
原発性アルドステロン症では、過剰なアルドステロン分泌によって腎臓でのナトリウムや水分の再吸収量が増えて高血圧が持続しますが、血圧の値がかなり高くなることが特徴です。腫瘍が原因の患者では平均 184/112 mmHg 、過形成が原因の患者では平均 161/105 mmHg であったという報告があります (参考文献 2) 。
アルドステロンは尿中にカリウムを捨てる作用があるため、原発性アルドステロン症では低カリウム血症が引き起こされる場合があり、患者さんの約半数でみられます (参考文献 1) 。低カリウム血症自体が自覚症状を引き起こすことは少ないかもしれませんが、高血圧の患者さんで原因を探るうえでは重要な所見のひとつになっています。
病院で検査をしないと原発性アルドステロン症かどうかは分かりようがなく、一般の方が自分で気づける初期症状は「高血圧」なので、検診で指摘されたり、日々の血圧計測で血圧が上がってきたことに気づいたら早めに近くの内科を受診しましょう。
原発性アルドステロン症の検査・診断
先ほど紹介したとおり、高血圧の患者さんの 5% が原発性アルドステロン症に罹患しているとされています。現在では高血圧の患者さんに対して、原発性アルドステロン症の可能性がないかをチェックするスクリーニング検査が広く行われるようになりました (参考文献 1, 3) 。スクリーニング検査ではアルドステロンや、アルドステロンを作るためのスイッチとなる物質の濃度を測定して、アルドステロンが分泌されすぎていないか、アルドステロンが無秩序に出ていないかを確かめることが推奨されています (参考文献 3) 。
スクリーニング検査に引っかかり、様々な追加の検査をしたうえで「原発性アルドステロン症があるかもしれないぞ」となれば、次は原因を探ります。
CTなどの画像検査で副腎の状態を視覚的に確認したり、カテーテルで左右の副腎から返ってくる静脈の中のアルドステロン濃度を左右で比較したりして、原発性アルドステロン症の患者さん個人個人の特徴を探ります (参考文献 3) 。
配信: Medical DOC