「大腸カメラ(大腸内視鏡検査)」は、大腸がんや大腸ポリープの早期発見、炎症性腸疾患の診断などに非常に有用な検査です。しかし、必要な検査とはわかっていても、どの年代でどのくらいの頻度で受けるべきか、検査における注意点などについては多くの人が疑問を持っています。今回は、大腸カメラを受けた方がいい人の特徴やその頻度などについて、「さがみ野やまなクリニック」の山名先生に解説していただきました。
監修医師:
山名 陽一郎(さがみ野やまなクリニック)
日本大学医学部卒業。その後、日本大学医学部附属板橋病院、海老名総合病院、公立阿伎留医療センター、みつわ台総合病院で経験を積む。2024年、神奈川県海老名市に「さがみ野やまなクリニック」を開院。医学博士。日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本内科学会認定医、難病指定医。
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)とは?
編集部
まず、大腸カメラについて教えてください。
山名先生
大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、大腸や直腸の内側をカメラで観察する検査です。この検査は、細長い柔軟なチューブ状の機器を使っておこなわれます。内視鏡の先端には小さなカメラとライトが付いており、医師はこれを肛門から挿入し、大腸の内部をリアルタイムでモニターに映し出して異常がないか確認するのです。
編集部
どのような目的で、大腸カメラはおこなわれるのですか?
山名先生
主な目的は病気の早期発見で、具体的には「大腸がん」やその前段階である「大腸ポリープ」を見つけるのに有用な検査です。ほとんどの場合、大腸がんや大腸ポリープには初期症状がないので、早期発見のためには大腸カメラをするのが重要と言われています。
編集部
ポリープががんに進行する可能性があるのですか?
山名先生
はい。大腸にできるポリープの一部は、放置すると大腸がんに進行する可能性があります。大腸内視鏡検査では、ポリープを発見するだけでなく、その場で取り除くことも可能です。
編集部
ほかにも大腸カメラでわかる病気はありますか?
山名先生
「クローン病」や「潰瘍性大腸炎」といった炎症性腸疾患を診断するのにも役立ちます。また、病気ではない一時的な感染や出血のある場所を特定することもできます。
大腸カメラを受けた方がいい人の特徴
編集部
大腸カメラを受けた方がいい人の特徴はありますか?
山名先生
「便秘や下痢などの便通異常が続いている人」「排便時に出血があった人」「腹痛や腹部膨満などがあってお腹の調子が悪い人」は、大腸の何かしらの異常が考えられるため、一度検査することをおすすめします。
編集部
ほかには、どのようなケースがあるでしょうか?
山名先生
上述のような症状がなくても「貧血や体重減少が気になる人」や「検診などで便潜血陽性になった人」は、検査を受けた方がいいでしょう。加えて、特に異常がなくても「今まで大腸カメラを受けたことがない40歳以上の人」や「血縁者が大腸がんになった人」も検査を推奨しています。
編集部
40歳になったら一度受けた方がいいのですね。
山名先生
はい。大腸がんは「40歳を過ぎると患者数が増えてくる」ということと「家族に大腸がんの人がいる場合は、そうでない場合と比べて罹患率が上がる」というデータがあるからです。現在の日本では、大腸がんは女性ではがん死亡原因の第1位、男性では第3位となっており、誰がなってもおかしくない疾患です。したがって、どんなに元気でも定期的に検査をすることが重要です。そして、大腸がんは早期に発見できれば治療ができます。
配信: Medical DOC