心疾患の前兆や初期症状について
心疾患のうち、ここでは虚血性心疾患・不整脈・心臓弁膜症・心不全の前兆や初期症状について解説します。
虚血性心疾患
虚血性心疾患は、動脈硬化や血栓(血の塊)などによって心臓にある冠動脈が狭くなったり閉塞したりして、心筋に血液がいかなくなることで起こります。
冠動脈が狭くなった病態が「狭心症」であり、閉塞した病態が「心筋梗塞」です。
狭心症の主な初期症状は、胸の痛みや違和感です。鋭い痛みではなく、胸のあたりを押されたり締めつけられたりするような感覚と言われます。
狭心症の病状が徐々に進行すると心筋梗塞に至ります。心筋梗塞に移行すると血液が届かなくなることで心筋が壊死するため、激しい胸の痛みが30分以上続き、命に関わる状態になります。
不整脈
不整脈とは、脈が早くなったり(1分間に100回以上)遅くなったり(1分間に50回以下)、もしくは脈のリズムが不規則になったりする状態のことです。
脈が速くなると動悸や息切れ、めまいなどの症状が現れることがあります。一方で、脈が遅い場合は身体を動かすのがつらくなり、動くと息切れの症状が現れます。
リズムが不規則になると、胸の違和感を覚えます。
ただし、不整脈の種類によっては突然激しい胸痛や失神などが現れるケースもあるため、普段から少しでも気になる症状がある方は早めに医療機関を受診しましょう。
心臓弁膜症
心臓弁膜症とは、心臓にある大動脈弁・僧帽弁・三尖弁・肺動脈弁といった4つの弁(血液が流れるときに開き、終わったら逆流防止のために閉じる役割を持つ)が異常をきたす病気です。
心臓弁膜症の初期は、自覚症状がほとんどありません。病状が進行すると動悸や息切れ、むくみなどが現れます。
心臓弁膜症の患者さんのなかには、不整脈や感染性心内膜炎(細菌により弁が破壊される病気)をきたす場合もあります。
心不全
心不全は、心臓のポンプ機能が正常に働かなくなり、症状をきたした状態のことです。
心臓から十分な血液が送られなくなり、身体に酸素や栄養が足りなくなるため、坂道を歩くと息切れや疲れやすさを感じます。
病状が進行すると尿量が減って身体の中に水分が溜まり、むくんだり体重が増加したりします。
心疾患の検査・診断
心疾患の主な検査は、以下4つの病気でそれぞれ異なります。患者さんの病状によっては、表の内容に加えて検査が追加される場合もあります。
病名
検査
虚血性心疾患
・12誘導心電図検査
・運動負荷心電図検査(運動をして心臓に負荷をかけたときの心電図の変化をみる検査)
・超音波検査(心エコー)
・心筋シンチグラフィー(微量の放射線物質により血液が血管にいき渡っているか確認する検査)
・冠動脈のCT検査
・心臓カテーテル検査
・採血検査
不整脈
・12誘導心電図検査
・運動負荷心電図検査
・長時間心電図検査
・採血検査
心臓弁膜症
・超音波検査
・経食道エコー検査
・採血検査
心不全
・胸部レントゲン検査
・採血検査
・超音波検査
それぞれの病気は、医師が問診・診察した結果とそれぞれの検査結果をもとに診断されます。
配信: Medical DOC