監修医師:
大坂 貴史(医師)
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。
感染性胃腸炎の概要
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌、寄生虫によって引き起こされる消化管の感染症です。主な症状には下痢、嘔吐、腹痛、発熱があり、ノロウイルスやカンピロバクターが原因となることが多いです。病原体に汚染された食べ物や飲み物、または感染者との接触によって感染が広がります。治療は主に対症療法で、水分補給が重要です (参考文献 1) 。
感染性胃腸炎の原因
感染性胃腸炎の原因は、主にウイルス、細菌、寄生虫の3つに分けられます。最も一般的な原因はウイルスであり、特にノロウイルスが多くの症例を引き起こします。ノロウイルスはカキなどの二枚貝を十分な加熱を行わずに食べることで発症します。感染している人が調理した食品が原因で起きる大規模な集団感染が増えています。
細菌による感染性胃腸炎には毒素型と感染型があります。毒素型は黄色ブドウ球菌やセレウス菌などが原因となります。黄色ブドウ球菌の産生するエンテロトキシンという毒素は耐熱性で、一度毒素が産生されると100℃30分で熱してもその毒素は失活しません。また、セレウス菌は調理したごはんや炒飯などの食品が長時間放置されると毒素を生じて食中毒の原因となります。
一方、感染型はカンピロバクターや大腸菌、ウェルシュ菌などが原因となります。カンピロバクターは鶏肉や鶏卵に付着した菌が原因となります。腸管出血性大腸菌は牛などの家畜の腸管に存在し、便で汚染された食材を食べることで発症します。感染者からの伝播による二次感染も多いと言われています。ウェルシュ菌は加熱しても死滅しないのが特徴で、食肉・魚介類などの加工食品や煮込み料理などに増殖して食中毒の原因となることがあります。
寄生虫による感染性胃腸炎は、ジアルジアやクリプトスポリジウムが代表的です。これらは発展途上国や衛生状態の悪い地域でよく見られ、汚染された水や食物を介して感染します。
いずれの原因においても、感染源は主に汚染された食品や水、または感染者との接触となっています。
配信: Medical DOC