足根管症候群の前兆や初期症状について
足根管症候群は捻挫や骨折によって生じる出血後の組織の繊維化・増殖が原因で発症する可能性がある疾患です。そのため、捻挫や骨折が前兆の一つだといえるでしょう。
初期症状では歩行時や足に合っていない靴を履いたときに生じるかかとから足底の痛み・しびれなどが生じます。症状が軽度である場合には、動作中は痛みを感じますが、安静にすると痛みが軽減するケースが多いでしょう。しかし症状が進行してくると、安静時にも痛み・しびれを感じるようになります。
足根管症候群の検査・診断
足根管症候群を疑ったときにおこなう検査は、主に以下の3つです。
レントゲン・MRIなどの画像検査
医師による徒手的検査
神経伝導検査
レントゲン・MRIなどの画像検査
画像検査は、足根管の状態が視覚的に確認できるため足根管症候群の診断に有効です。レントゲンでは骨棘などの骨の異常、MRIや超音波では足根管に発生しているガングリオンや足根管自体の変性を確認できます。
また、炎症が起きている場合にはMRI・超音波が有効です。しかし画像所見では異常が確認できないケースもあるため、その場合には他の徒手的検査や神経伝導検査、腰椎などの画像所見と合わせて総合的に判断することになります。
医師による徒手的検査
足根管症候群は足根管を叩くことで症状が誘発されるTinel兆候が特徴です。医師が打腱器と呼ばれる道具で足根管を叩き、Tinel兆候がみられるかどうかを検査します。
また、腰椎椎間板ヘルニアや深部臀筋症候群との鑑別のために、坐骨神経へのテストもおこないます。坐骨神経の伸長テストや腱反射、筋力検査をおこない、異常がみられなければ腰椎椎間板ヘルニア・深部臀筋症候群の可能性が低くなるため、鑑別のためのテストも重要です。
神経伝導検査
神経伝導検査とは皮膚の上から電気刺激を与えて、神経に異常がないか確かめる検査です。足根管症候群の場合には後脛骨神経に刺激を与えると、他の神経と比較して反応が遅くなります。
また、この神経伝導検査も他の疾患との鑑別に有効です。もし腰椎椎間板ヘルニアであれば後脛骨神経だけでなく坐骨神経の反応も悪くなりますが、足根管症候群であれば坐骨神経は正常な数値を示します。このように後脛骨神経と他の神経を比較することでより正確な診断が可能です。
配信: Medical DOC