足根管症候群の治療
足根管症候群では、主に以下に挙げる治療をします。
理学療法
薬物療法
手術
理学療法
理学療法では運動療法や物理療法によって筋肉の緊張緩和・血流の促進を図ります。特にふくらはぎから足首・足の裏の筋肉を動かし、扁平足の緩和や痛くない歩き方を練習することで、痛みの緩和効果が期待できるでしょう。
また、足首の装具や足底板(中敷)も効果的です。特に足底板は足のアーチ機能(土踏まず)を支える効果があり扁平足の症状緩和効果が期待できるため、足根管症候群の症状軽減につながります。
薬物療法
薬物療法では、神経の再生を促すビタミン剤や非ステロイド性抗炎症薬を内服して痛みの緩和を図ります。また、足根管への注射も効果的です。ステロイド薬や局所麻酔薬を使用し、炎症軽減・痛みの軽減を図ります。
手術
理学療法や薬物療法などの保存療法でも痛み・しびれの軽減が乏しい場合には手術が検討されます。手術では足根管を広げるほか、骨棘やガングリオンを除去することで後脛骨神経の圧迫を取り除きます。
手術は局所麻酔でおこない切開部分も大きくないため、1時間程度で終わることがほとんどです。入院の必要もないので、日常生活に大きく支障が出ることはないでしょう。
足根管症候群になりやすい人・予防の方法
足根管症候群になりやすい人は以下に挙げる特徴があります。
捻挫癖がある
足首周囲を骨折したことがある
扁平足
これらの特徴は足首・足の裏の筋力低下につながる可能性があり、足首に負担がかかりやすくなります。足首への負担は足根管内の神経圧迫につながるため、足根管症候群を発症するリスクが高まると考えられます。
予防方法は足首・足根管にかかる負担を軽減することです。特に歩行でかかとをつく瞬間にかかる衝撃が大きいと、足根管に大きな負担がかかるため、衝撃を和らげることを考える必要があります。
具体的には足首周囲・足裏の筋肉を鍛えることが大切です。これらの筋肉は歩行時の衝撃緩和作用があるため、筋力効果によって足根管症候群の症状緩和につながります。かかとの上げ下げや足の指をグーパーすることで足首周囲・足裏の筋肉が鍛えられるので、毎日継続してみてください。
また、靴の中にクッション性のある中敷を敷くことも効果的です。クッションによる衝撃の緩和が期待できるうえ、土踏まずを下から支えることで足裏の筋肉の補助にもなります。
関連する病気
腰椎椎間板ヘルニア
深部臀筋症候群
参考文献
日本脊髄外科学会足根管症候群
日本臨床整形外科学会足根管症候群
日本足の外科学会足根管症候群
井樋栄二, 津村弘 et al 標準整形外科学第15版 医学書院 2023
配信: Medical DOC